「手紙で済ませる気か! 1億ウォン以上は寄付しろ」
しかし、芸能人の寄付リレーに、予想もできなかった否定的な反応が出てきた。
俳優のイ・シオンは新型コロナのために100万ウォンを寄付し、自分のSNSに寄付をした領収書を載せたことで、ネット民たちから袋叩きにされた。「寄付の金額が少なすぎる」というのが批判の理由だ。
また、韓流スターのヒョンビンは、手書きの手紙を公表して新型コロナに苦しんでいる国民にエールを送ったが、ネットでは、ヒョンビンの行動に「手紙で済ませる気か! たくさんの金を儲ける韓流スターだから1億ウォン以上は寄付しろ」などという書き込みが相次いだ。
ネット民から非難世論が激しくなると、ある福祉団体が「すでにヒョンビンから2億ウォンの寄付を受けている。ヒョンビンに寄付した事実を公表しないで欲しいと頼まれたため、これまで明かさなかった」と釈明する事態となった。
ネットで出回った「寄付金額リスト」
さらにネットでは「新型コロナ対策に寄付した芸能人リスト」が出回っている。
寄付をした芸能人を、まるで成績を並べるかのように、「3億→2億→1億→5000万ウォン」と、金額の順に整理したリストが作られ、随時アップデートされているのだ。
このように過熱した寄付文化について、家族心理学が専門でソウォン大学兼任教授のクァク・ソヒョン氏は、韓国の独特なファン文化の問題点を指摘する。
「韓国の韓流コンテンツには、インターネットを中心に強力なファン層が形成されているので、芸能人と所属事務所は、彼らの世論に左右される傾向が強い。寄付も、ファンの間で『いくらぐらい払わなければならない』という圧力が働いて、競争するかのように金額が跳ね上がっています。本来の目的より金額が注目されるようになってしまうと、本来の目的が色あせてしまいます」
政治家や企業家に対する信頼が地に落ちている韓国社会で、芸能人こそが青少年たちのロールモデルになっており、高い倫理意識と道徳性を求められている。
世界的な人気を誇る韓流スターたちは、それだけ重大な責任感やプレッシャーも抱えているのだ。