文春オンライン
知られざる「個人撮影AV」ブームの実態 “古株”制作者兼男優が打ち明けた

知られざる「個人撮影AV」ブームの実態 “古株”制作者兼男優が打ち明けた

投稿急増でトラブル相次ぐ

2020/03/28

source : 週刊文春デジタル

genre : ライフ, 社会, 娯楽

note

最も苦労するのは「モザイク処理」

――女性への報酬の相場は?

「20代半ばの女性の場合、女性側から提示される金額は5、6万円が最も一般的です。作品を配信し見込める売り上げと女性の撮影条件を比較検討し、女性への報酬は彼女と交渉して決めています。もっとも私は色々な年代や条件の方を撮影するので、報酬は大きな幅が出るのですが。

 例えば条件でいうと、僕の映像は性器には全てモザイクをかけていますが、女性の顔にモザイクをかけるかどうかは、本人の意向次第です。当然ながら、顔のモザイクがない方が視聴者には受けが良く、売り上げが見込めることから、女性への報酬は高くなります」

ADVERTISEMENT

――実際の撮影はどんな形式で行われていますか?

「撮影には、都内のラブホテルのサービスタイムを使っています。女性とは駅で待ち合わせし、すぐホテルに向かいます。撮影条件や報酬は、事前のやり取りで決めているので、ホテルに直行となるのです。

 拘束時間は3、4時間ぐらいになります。部屋に入ると、先ほど言ったネンカクや出演承諾書へのサインをもらいながら、撮影でのNG行為を確認します。その後、『どんなHが好きですか』などといったインタビューをします。1本の作品にするためには、作品の冒頭に入れるこうしたインタビューが必要です。そして、絡みの撮影となります。ホテルの一室に入ってから、カメラはネンカクの段階からずっと回しています。撮影する映像は、全部で2、3時間ぐらいになるでしょうか。

 使う機材は手持ちのビデオカメラのみです。個撮を始めた時に、市販品の上位機種を10万円以上出して購入しました。荷物になるので照明は持ち込まず、すべて自然光で撮っています」

撮影場所はラブホテルの一室であることが多い(写真はイメージ) ©iStock.com

――動画配信までの流れは、どのようになりますか?

「まず、撮った映像を2時間ぐらいの長さに編集します。その後、パソコンでモザイクをかけていく。性器、希望があれば女性の顔、撮影したホテル名が映り込んでいる場合もモザイク処理します。

 モザイク処理は、最も苦労する作業です。2時間の映像だと、その処理に5倍以上の時間がかかります。僕の場合は、1日1~2時間作業し、2週間前後かかります。かなり地味な作業で、同業者も苦労している人は多いですね。もちろん外注することもできますが、それでは利益がでないので自分でやっています。

 完成した映像は、動画サイトの『FC2コンテンツマーケット』に投稿する。ネットにアップする作業はとても簡単です。他にも『XCREAM』や『Gcolle』などの動画サイトがありますが、いまの収入の8割は『FC2』での配信です。僕の場合はFC2だと、売り上げの7割が支払われます。他サイトよりも高還元です。なおかつ作品をアップしやすいため、FC2が主戦場になります」

A氏が配信に利用している「FC2コンテンツマーケット」

「個撮は自己表現。危ない橋を渡っている状態を改善したい」

――作品はいくらで販売していますか? 売り上げはどのくらいになりますか。

「僕の場合はモザイクありのため、そんなに高い値段をつけられない。通常、2時間の映像で数百円から1000円ほどで販売しています。ただ、この2時間の映像を、20~30分程度に分割して販売もします。入浴シーンが好きな男性、手っ取り早く絡みだけを見たい男性など、購入者の嗜好はさまざまです。そんな趣味に合わせるのが分割作品で、1作品500円以内のワンコインにしています。

 この収入で、撮影にかかる経費を賄えます。最低でも経費と儲けでトントン。もちろん、儲けがでればうれしい、という制作スタンスです」