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――元々は議員になるつもりではなかったのですね。

木村 なりたいと思ったこともないです。障害者運動、特に介護保障運動をしなければ私のような重度障害者の生活は保障されませんから、死ぬまで運動を続けていくと思っていましたので。

なぜ一度は断った政治への道を選んだか

――では何故、去年は出馬を?

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木村 障害者政策が何年かごとに、あるいは政治が変わったりすることでどんどん悪くなっていく状況があったからです。

 たとえば、重度訪問介護制度は、元は「重度脳性麻痺者介護人派遣制度」という東京都の単独事業として始まったのですが、その後、対象拡大や国の事業への移行などがなされて、国による規制が加わり生活しづらい制度になってきました。組合にも、介護時間数を減らされたり、65才になったら重度訪問介護が使えなくなったなどの様々な相談が全国から多数寄せられていました。

 そこで、運動だけで変えられない現実を実感しまして。今ある制度を維持、あるいは広く改善するには、重度障害者が政治家になることが求められている時代かもしれない、と。

――あくまで障害者政策を動かすための一手段であって、目的ではないと。

木村 ええ。ただ、それが私でいいのか、出馬寸前まで自問自答しました。他の方がやって下さればという気持ちも抱えつつ、最後は断腸の思いでやりました。

音喜多議員「歳費を返納すべき」をどう思うか

――少し関連しますが、先日舩後議員が健康上のリスクを理由に出席を見合わせたことに対して、音喜多議員が「歳費を返納すべきではないか」という趣旨のツイートをされたことはご存じですか?

木村 はい、知ってます。

――率直にどう思われますか?

木村 歳費は議員が同一にもらっているものですし、それぞれの事情でお休みされている議員は舩後さんだけではないですよね。

 だから、一概に障害を理由として休んでいることに対して「歳費を返せ」というようなことを議員が言ってしまうと、国会議員の質を全体的に下げることになると思います。発言がいいか悪いかとか、そういうことは私は言いたくありませんけれども。

新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員

 国会は、国民の人がみんな見ている場です。そこを、差別をなくしたり、障害者も健常者も活動しやすいように合理的配慮をしたりする姿勢を作っていく場所として見せていくのが議員の努めだと思います。

私がいる目の前で……国会で感じる差別

――その国会においても差別を感じたことはありますか?

木村 差別というか、他の議員とご挨拶程度のお付き合いしかできないというのはあります。議員のお友達がまだいない。

 議員の方の中には、私の目の前で介護者に向かって「障害者の介護をされて大変ですね」などと言う人もいる。労いの言葉なのでしょうが、当事者とすれば傷つきますね。