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パワハラを受けても40.9%が「何もしなかった」……職場のハラスメントは増えているのか

『「職場のハラスメント」早わかり』より #1

2020/04/13
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マタハラだけでなく、最近は「パタハラ」も

 では、「パタハラ」はご存じでしょうか。パタニティ(Paternity)は、英語で「父性」を意味する言葉。育休など育児・介護休業法によって認められている、各種の育児支援制度を利用しようとする父親である社員に対するハラスメントのことです。男性社員の育児参加が増えるにしたがって、やはり増えてきているようです。

©iStock.com

 また、最近特に無視できなくなっているのが、「LGBT」へのハラスメントです。

 LGBTとは、いわゆる「性的少数者」を指す言葉で、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字を取った語です。

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 レズビアン、ゲイ、バイセクシャルがいわゆる「性的指向」(どの性別の人を好きになるか)であるのに対し、トランスジェンダーはいわゆる「性自認」(自分の性をどのように認識しているか)に関するものです。身体の性は男性でも、心の性は女性、というようなケースです。

「SOGIハラ」ってご存じですか?

 こうした人々に対するハラスメントは、「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」の頭文字を取り、「SOGIハラ(ソジハラ)」とも呼ばれますが、言葉としての浸透はまだまだのようです。

 ただ、言葉があろうとなかろうと、こうした人々は以前からずっといたわけで、当人は人知れず苦しんでいたはずです。「性的少数者」と言いますが、ある調査によれば全体の8・9%、つまり11人に1人はこれに当てはまるというのですから、決して「少数」とは言い切れないのです(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2018」)。

 ここまで、「職場におけるパワハラ」について述べてきたことは当然、これらパワハラ以外のハラスメントについても言えることです。すなわち、こうした問題が発生した場合、企業の内外に大きな問題が起こること。それを防止するためには、ルールをきちんと理解しておかねばならない、ということです。

 2019年の法改正では、パワハラだけでなく、これらのハラスメントについても改正が行われました。詳しくは後述しますが、この際、パワハラのルールとともに改めて確認しておくべきでしょう。

パワハラを受けても40.9%が「何もしなかった」……職場のハラスメントは増えているのか

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