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――自宅待機者が増えると、どのような問題が生じるのでしょうか。

田中 独り暮らしの感染者は、買い物や食事に外出せざるを得ません。行動は各感染者に任されているので、中には区をまたいで知り合いの家に行ってしまうような人もいると聞いています。また、症状が急変する場合もあると伝えられているので、健康観察の必要があるのではないかと考えてきました。このため、生活支援チームを設けたり、自宅待機者をどこかに集約したりすべきではないかと、対策を検討してきました。

駅のホームは極めて人が少ない。生活圏外へ出かける人は減っている(JR阿佐ヶ谷駅)

自宅待機者が出すごみをどう処理するか?

――自宅待機は近隣とのトラブルにつながりかねないのでは。

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田中 感染者が飲食店へ行ってトイレを使うと、後で使用する人に飛沫感染の恐れがあると言われています。

 ゴミも大きな問題です。小池知事は感染者が出すごみは通常の家庭ごみとして処理してほしいとする文書を23区長会に提出しました。しかし、病院では医療系廃棄物として扱われているだけに、住民不安につながりかねません。都はごみ袋を二重にし、縛って出せば大丈夫だという考えです。が、実際にはカラスがつついてバラバラにされることもあります。そうした時にはボランティアで整理してくれる人もいますが、感染のリスクはないでしょうか。ごみ収集車で圧縮する時に袋が破れて飛沫が飛ぶと、収集職員に危険が及ぶかもしれません。文書1枚で依頼するような話ではなく、都民に納得がいくように説明すべきだと思いますが、いまだになされていません。

――簡単に自宅待機とは言えない問題があるのですね。ただ、小池知事は新たにホテルを確保して、自宅待機者を移すと表明しました。

小池知事は説明責任を果たしていない

田中 数字上いないはずの自宅待機者が何の説明もなく、突如として公然化されたのです。多くの都民は自宅待機者が大勢いたと知りませんから、驚いたと思います。ホテルへの移送は進めてほしいのですが、いきなり発表するのではなく、検討しているのなら区にも教えてほしかった。私達は自宅待機者対策に頭を悩ませ、様々な準備を進めてきました。それが必要ないなら、この重要な時期にもっと別の対策に力を注ぐことができました。

「ガラス張りの都政」を標榜していた小池知事なのに、説明責任を果たしてるとは言えません。

小池百合子・東京都知事 ©AFLO

――4月13日に杉並区独自の対策を発表しました。

田中 都の対応が遅く、もう待っていられなくなりました。医療政策は国と都道府県の仕事とされています。しかし、目の前で感染者が急増して医療が崩壊していくのを、座して見ているわけにはいきません。

――具体的にはどうするのですか。