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連載春日太一の木曜邦画劇場

バズーカにマシンガン! 釜ヶ崎で若山が大暴れ!――春日太一の木曜邦画劇場

『帰って来た極道』

2020/04/21
1968年作品(93分)/東宝/AmazonPrime配信

 緊急事態宣言が出て、映画館も休館が相次いでいる。自宅にずっといなければならない方も多いことだろう。

 そうした中で便利なのが、映像配信だ。特に近年は旧作日本映画もラインナップが充実してきており、まだソフト化されていないような作品も次々と観られるようになった。

 そこで、しばらくはそうした「配信だからこそ観られる作品」、特に、観ている間だけでも厭な現状を忘れられるような娯楽作を紹介してみたい。

 今回取り上げるのは、『帰って来た極道』。日本を代表するドヤ街である大阪・釜ヶ崎を根城に暴れまくるヤクザ・島村清吉を若山富三郎が演じたシリーズの、第二作だ。

 このシリーズ、なぜだかDVD化されることがなかったが、Amazonプライムではほとんどが配信されている。で、一作目は比較的大人しい内容だったが、二作目から暴走が始まり「バイオレンス・ヤクザ・喜劇」という、邦画史上で稀有なジャンルを確立した。

 冒頭から島村は刑務所に収監されている。そして、看守相手に大暴れ。拳銃を向けられてもビクともしない。あまりの暴れぶりに全国の刑務所を転々とし、最後は引き取り手がいなくなり地元の刑務所に戻ることに。同じ監房で、ジョージ(山城新伍)らかつての子分たちと再会した。

 そして出所すると釜ヶ崎のストリップ劇場を乗っ取り、そこを拠点に興行会社を設立する。だが、そのために街を支配するヤクザ組織・藤岡組と反目することに。藤岡組、そしてその上部組織の天誠会による攻勢の前に、島村の子分たちは次々と命を落とす。怒った島村は残った子分を引き連れて天誠会を襲撃する。

 ――と書くと、ハードなバイオレンス映画と思われるかもしれない。が、実際には賑やかで大らかな喜劇調メインで物語は展開。凄まじい暴れぶりに傷だらけの顔という厳つさの一方で、人情味あふれる可愛げを見せる若山のギャップの魅力もあいまって、とにかく楽しく時間が過ぎる。

 そして、最後の乗り込みがまた凄い。通常、やくざ映画のクライマックスで使う武器といえばドスに匕首、飛び道具でも拳銃くらいな、地味なものだが、本作はド派手。

 装甲車に乗り込んで敵の待ち受ける洋館に突入、その中からマシンガンをぶっ放して、次々と敵をなぎ倒していくのである。敵の応戦も半端ない。バズーカ砲で装甲車に対抗するのだ。凄まじい爆煙の中をマシンガンの銃声と共に装甲車が走り抜けるその様は、ほとんど戦争映画。ここまでの凄まじい銃撃戦は、邦画ではなかなか観られない。

 最高の時間潰しができること、請け合いだ。

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