JR田町駅の芝浦口側は再開発されて大変きれいになった。以前は階段を降りると、ファストフード店がびっしりと軒を並べていた。焼きそばのうまい「後楽そば」、一杯飲める「信濃路」もあった。いまはその痕跡もない。

 さらに湾岸エリアに進むと、船舶海運、倉庫、流通関係の会社などがあり、そこに勤める人達を相手にした古びた大衆そば屋が細々と営業していた。港区海岸には肉めしがうまい「かがみ」があったが2010年頃に閉店。「一休」も2018年に閉店し、一帯は大衆そばの空白地帯となっていた。

4月中旬、JR田町駅前芝浦口の八重桜が満開だった

“大衆そば空白地帯”にできたポツンと1軒そば

 そんな芝浦二丁目に2019年10月、新しい大衆そば屋「うちそば芝浦二丁目店」ができたというので、コロナ禍の4月中旬に訪れることにした。実は立ち食いそばの達人で「立ち食いそば大図鑑」などの著者、東京ソバット団の本橋隆司さんからある情報をいただいたのである。そのキーワードは「だし家」である。

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 久しぶりに訪れるJR田町駅の芝浦口エリアは八重桜が儚く満開を迎えていた。本当に昔の面影がない。別の街に来たような錯覚を覚える。マンションとオフィスビルが立ち並ぶかすみ通りを進むと運河やモノレールが現れる。10分ほど歩いただろうか、旧海岸通りの交差点を渡るとぽつんと1軒のそば屋の暖簾が見えてきた。

運河やモノレールが走る、マンションも増えた湾岸エリア
旧海岸通りを渡ると「うちそば芝浦二丁目店」がある

「うちそば」は2010年10月に糀谷で創業し、2011年に西神田に移転した。そして2店舗目が2019年10月、芝浦二丁目にオープンしたというわけである。

「うちそば芝浦二丁目店」は若緑色の暖簾がきれいだ
店はきれいでゆったりとしている

 早速、若緑色の暖簾をくぐる。大変きれいな内装のゆったりとした店である。すぐに券売機があるので、「かきあげそば」(480円)を買って奥の注文コーナーに歩いていくと、フロアで見覚えのある顔が目に入った。