最近、よく耳にする「人生100年時代」というキーワード。とくに女性の場合、男性よりも平均寿命が長いため、結婚していようがいまいが、最後には「おひとりさま」になる可能性が大。しかし、不自由のない老後を過ごすためには、お金や健康など十分な準備が必要だ。

 そこで「週刊文春WOMAN」2020春号では、大特集「女の一生100年って!?」を約40ページにわたって掲載。《働き方》《お金術》《墓問題》から《食事術》《美容法》まで、100歳まで生きるならば知っておくべき9大問題を総ざらいしている。今回はその中から、《閉経》企画を全文転載。

 女性にとって生理とどう付き合うかは、生涯をとおして避けて通れない大問題だ。近年、マンガ『生理ちゃん』のヒットで注目が集まるようになったが、じつは人生100年と考えた時には、「生理ちゃんその後」への戦略がもっと立てられるべきなのだ。

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女性の後半生は「生理ちゃん」がやってこない50年

 月経を擬人化した「生理ちゃん」が登場する漫画『生理ちゃん』(作/小山健、KADOKAWA)が女性たちの共感を呼んでいるという。筆者はよく承知していなかったが、本誌編集長と担当編集者K女史の勧めで読んだ。この人気漫画では生理の大変さが描かれているが、ここでは「生理ちゃんその後」について解説していきたい。

映画化もされた『生理ちゃん』(KADOKAWA)

 月経が1年ないとき、1年前に遡って「閉経」とするのが、産婦人科医が決めた約束事だ。100年前は18歳が平均だった初経(初めての月経)年齢が現在は約12歳に低下しているのに、閉経年齢の平均は昔から変わらず、だいたい50歳前後である。人生100年をにらんだとき、女性の後半生は、「生理ちゃん」がやってこない50年ということができる。

 1905年以前に生まれた女性は、平均5人以上の子どもを出産していた。18歳~50歳の32年間で妊娠中・授乳中の計1年半は月経が止まるから、少なくとも1.5年×5回=7.5年くらいは無月経であったはずだ(実際はもっと多く、計10年ぐらいだろう)。つまり、12×(32−7.5)=294回、「生理ちゃん」がやってきた。平均的現代女性では、12歳~50歳の38年間に子どもを1人出産するとして、12×(38−1.5)=438回、「生理ちゃん」がやってくる計算になる。明治の女性よりも単純計算で144回も多い。当然、出産しない女性はさらに18回多くなる。月経回数が多くなったことは、さまざまな病気の頻度にも影響しており、たとえば最近、子宮内膜症が増加してきた重要な原因とされる。

 さて、何百回もやってきた「生理ちゃん」がやってこなくなった女性のからだには何が起こるのだろうか。

閉経前から女性ホルモンは既に低下し始めている

「週刊文春WOMAN」2020年春号

 やってこなくなるときの状況については、あるとき突然、月経が止まりそのまま閉経となる女性もいるが、多くの場合は40代ぐらいから若いときよりも早めに、つまり、しょっちゅう月経が来るようになる。そもそも卵子というのは女性自身が母の胎内にいるときに作り終え、生まれた後に新しく作られることはない。女性の年齢とともに歳を重ね、数も激減していく。閉経になる大分前から卵巣からの排卵はなくなっていることが多いのだ。その後も女性ホルモンの産生がある程度保たれている間は、月経が続く。排卵していないので厳密には月経というべきでないが、本人的には区別はつかない。

 ただし、女性ホルモンは既に低下し始めており、50代以降の女性では、血中の女性ホルモン値は、何もしなければ同年代の男性よりも低くなってしまうのだ。