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2020/05/08

ホルモン補充療法は骨粗鬆症などの予防にも

 対症療法でなく原因療法となるのが、足りない女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)である。現在、少量の女性ホルモンの使用が徐々に進む体の変化、たとえば骨粗鬆症などの予防となることがわかっている。飲みグスリではなくパッチ剤やゲル剤といった経皮的投与が広く使われるようになり、女性ホルモン使用で懸念される血栓症などの副作用リスクがとても小さくなった。

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 HRTで用いる女性ホルモンの量は極めて少量でも、一時的に「生理ちゃん」がやってくることがある。この場合、子宮がん検診によって悪性腫瘍を否定しておく必要があるが、このような不正出血は女性ホルモン剤を継続しているといずれ解消することが多い。

 女性ホルモンを長期的に用いることで、乳がんや卵巣がんなど女性に特有ながんが増加することはないのだろうか。過去に行われた議論のすべてを振り返る紙幅はないが、現在用いられているHRTががんの頻度を著しく上昇させることはない。

 HRTでなく漢方薬などを使用する女性もいる。更年期症状に対して用いられる漢方薬の「加味逍遥散」や「当帰芍薬散」は、基本的に弱い女性ホルモン作用を持つ生薬であると理解すればよい。健康食品として用いられる「エクオール」も弱い女性ホルモン作用のある物質である。これらはいずれもHRTほど劇的な効果があるわけではなく、医学的管理が不十分な場合もあるので、医師の指導の下での服用を強くお勧めしたい。

石原理
埼玉医科大学医学部産科・婦人科教授
1954年東京都生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部産婦人科、英国ロンドン大学ハマースミス病院などを経て、現職。生殖補助医療監視国際委員会のボードメンバーを務める。

『女の一生100年って!?』特集の続きは、「週刊文春WOMAN 2020春号」でお読みください。

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