4月26日には、親体制的な論調で知られる中国の大手紙『環球時報』が、「中国を侮辱するゲーム」を非難する記事を発表。「明らかな反中国と台湾独立(を支持する立場)の徴候がある」と怒りを示す。
また、当然ながら『コロナウイルス・アタック』のSteam販売ページのコメント欄には、中国大陸から書き込まれた罵倒と、香港や台湾から書き込まれた称賛があふれ、さながら香港デモの代理戦争のような状態となった(4月29日現在、評価は「好評」687件、「不評」139件となっている)。
やがて4月26日ごろから、中国側でSteamの『コロナウイルス・アタック』のページが表示されなくなったため、中国人ネットユーザーは自分たちの抗議によって悪質なゲームがBAN(削除)されたと大喜びする。だが、実はSteam側が中国のIPアドレスから当該ページへのアクセスを弾いていただけであることが後になって判明した。
台湾側ではこれについて、王定宇という民進党所属の立法委員(国会議員)が「台湾の表現の自由が守られた」と歓迎する声明を自身のFacebookに投稿。おふざけゲームが、ずいぶん大きな波紋を広げることになっている。
“あの政治活動家”がプレイ動画生配信
中国ではGoogleやTwitterをはじめとした海外の大部分のウェブサービスへのアクセスがブロックされているが、Steamは中国からアクセスが可能な数少ない海外資本のサイトのひとつである(後述)。中国国内のSteamユーザーは約3000万人とする推算もある。
ただ、それゆえに政治的な問題とは無縁ではない。今年4月には『コロナウイルス・アタック』問題以外にも、Steamのサービス上の「国家」分類で中国と台湾が別の国扱いになっていることが中国国内のSNS上で指摘されて炎上する事件が起きた。