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 では、新型コロナウイルスに対する投薬治療やワクチンができれば問題は解決するのだろうか。もちろん、解決はするだろう。ただ、これはそんなに容易なことのようには思われない。 

 エイズの歴史を再度振り返ると、エイズの最初の症例が報告されたのが1981年で、その後約15年間は効果的な治療法がなかった。現在でも、HIVに一旦感染すると完治はしない。HIVに感染しないためのワクチンについては、40年経った今でも開発されていない。 

 今後さらなる研究が進み、新型コロナウイルスの特性がさらに明らかになってくると、実は治療薬の開発は今の科学技術では容易でないということが分かるかもしれない(エイズの時もそうだった)。そうなると、長期間のさらなる行動変容を強いられることになるだろう。その結果、医学に対する人々の信頼も揺らぎかねない。 

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エイズ「行動変容」の第3段階から学べること

 ただし、エイズの教訓から学べることは確実にある。安請け合いかもしれないが、「ウイルスと共に生きていくこと」である。感染しているものは体内にいるHIVとともに生きざるを得ないし、まだ感染していないものはすぐそこにウイルスがいるということを前提にセックスを行なわざるを得ない。 

 HIVが流行している集団にとって、HIVとはもう40年近くの長い付き合いである。HIVはとても厄介なウイルスだが、人々がこのウイルスから学んだことは多かった。このウイルスとの付き合いを通して、生きるということがどういうことかも深く学んだのである。 

 新型コロナウイルスの流行は、現状ではすぐには収まりそうにない。このままずっと外出自粛とはならないかもしれないが、マスクで外出をしたり、3密を避けるという予防法は、今後もしばらく実践していかなければならないだろう。私たちはこのウイルスとともに、当分生きていかなければならない。