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「明日も頑張ろうという気持ちを持ってもらえれば」

 5月7日に竜王戦1組決勝という大一番を目前にしていた佐藤和七段ですら「1組決勝があっても、モチベーションの維持は難しいですね。他の対局で不透明な部分が多すぎます」という。また佐藤和七段は4月から奨励会幹事という役職も担っている。当面はこれまでの小倉久史七段と近藤正和六段という両幹事と合わせた3名体制ということだが、奨励会も延期となり「今後のことを考えると……」と不安を吐露した。

2015年10月18日の登山研にて。左から中川、藤森、上村。メンバーの1人としても、再び山の頂きを目指せる日が早く来ることを祈る ©相崎修司

 ただ、そのモラトリアムを前向きにとらえることもできる。「これはお互いに言えることですが、次の対局の戦術的な準備を相当入念にできることです。こういう時こそ日々の取り組みで変わってくる気はします」と村山七段。

 また先日、新たな順位戦の組み合わせが発表されたが「新たな表を眺めているだけでも気持ちが湧いてくる。先手と後手が決まっているので、より作戦も立てやすい」とは中川八段の言葉。登山研のリーダーとして、棋士の中では体力派で知られる中川八段だが、山には登れなくとも「器具があるので自宅でトレーニング」と、対局のためにも体力維持に余念がない。

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スーツの着こなしにも定評のある中川大輔八段 ©相崎修司

 このように、先の見えない状況でも、棋士はそれぞれの行動を起こしている。「将棋を家の中で楽しんでもらい、明日も頑張ろうという気持ちを持ってもらえれば」とは藤森五段の言葉だが、すべての棋士に共通する思いだろう。筆者もその思いに少しでも協力していきたい。

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