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2020/05/10

genre : ニュース, 国際

 与正氏の談話の後、文在寅政権中枢の関係者たちは、与正氏の毒舌が「文大統領を直接狙っていない」と一切批判しなかった。さらに、毒舌談話の翌日には金委員長が文大統領に慰労の親書を送るなどして、韓国人を混乱させた。

 結局、与正氏の「毒舌談話」は、多くの韓国人から忘れ去られることになった。

与正が北朝鮮の女性問題を進展させた?

 このように韓国人にとって、与正氏はこの2年あまり、一進一退を続ける南北関係の中で、常にその中心で重要な役割を果たしてきた印象が強い。

 北朝鮮内で有力政治家としても地位を固めつつある与正氏。北朝鮮ではどのような影響を与えているのか。前出の鄭成長博士は、「最近、北朝鮮社会で女性の地位に対する変化が始まっている」と語った。

板門店で開催された南北首脳会談に同席する金与正氏(右端)(2018年4月27日) ©AFLO

「金正日時代では、女性たちが公に存在感を示すことができませんでした。しかし、金正恩時代に入って、女性も政治の舞台に堂々と登場できるようになりました。金正恩委員長が李雪主夫人を伴って公の場で活動をする姿や、金与正や玄松月(歌手、モランボン楽団の団長も務めた党幹部)などが、金委員長の公式随行団として活躍する姿も多くみかける。

 数年前からは、国際婦女節(世界女性の日)の『労働新聞』(朝鮮労働党の機関紙)の論評を見ても、女性に家庭での献身や犠牲を強調してきた過去の論調から離れ、夫婦間の平等を強調したり、女性の社会活動を勧めたりする雰囲気が生まれている」

 金正恩時代に入って起こったこれらの変化には、宣伝扇動部幹部を務めた与正氏の活躍があった――というのが、鄭成長博士の分析だ。

 そういう意味では、「キム・ジヨン世代」が期待する通りの活躍なのかも知れないが、与正氏を前面に出して韓国の若い女性たちを期待させるという、北朝鮮の狙い通りとも考えられるのではないか。

 金与正氏が、さらに力を付けて北朝鮮中枢に立つとき、本当に北朝鮮は開放的になるのだろうか。

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