一番の悩みは情報不足
出産前も出産後も、母親たちの共通した悩みはこうした情報不足。最低限の情報は公的な機関の発表を見たり、探せばツイッターなどにもあるだろう。ただ、密室での育児を続けるなかで孤立しないために本当に必要なものは、住んでいる地域に根差した細やかな生の情報だ。
「どの公園が安心して遊べるとか、どんな補助があるとか、やっぱり同じ地域で子育てをしているママたちに聞かないと分からないことも多い。私の場合、区が同じ地域で子育てをしているママたちが話せる集まりを予定していて、情報交換ができると楽しみにしていたんですが、それも中止になってしまいました」(畠山さん・仮名)
生後10カ月の子供を育てる都内在住の畠山由美さん夫婦も情報不足に悩んでいる。こちらは、例年であれば10月頃から申し込みが始まる保育園に入るための“保活”が心配の種だという。
「普通は見学して申し込むんですけど、今は保育園が臨時休園しています。それにたとえ保育園がやっていても、今、人が集まっている場所に行くのは考えてしまうし、結局、何もできない状態です。もっと言えば、政府内では学校の『9月入学』が検討されているそうですが、仮にそうなったら保育園への影響はどうなるのか。混乱するばかりです」(畠山さん)
いずれにせよ、コロナが収束するまでは、感染の危険は付きまとうことになる。先日、フリーアナウンサーの赤江珠緒氏が新型コロナに感染したニュースをきっかけに、幼い子供を抱えた両親が感染した場合、誰が子供の面倒を見るのかという問題への関心が高まったが、解決策は見えてこない。厚生労働省は、親族間の保護が基本という見解だが、高齢者の重症化リスクを考えると、簡単には預けることも難しいだろう。
「夫の仕事も厳しい状況ですし、リスクがあるから親も頼れない。出産後は気を付けながらワンオペ育児をやっていくしかなさそうです」(山岡さん)