『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』(ユヴァル・ノア・ハラリ 著/柴田裕之 訳)河出書房新社

〈知の巨人〉として世界中の注目を集める、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ。本書はITとバイオテクノロジーを大きな軸として、グローバルな視点から雇用、ナショナリズム、テロ、ポスト・トゥルースなど現代社会の諸問題に切り込んだ著作だ。

「『サピエンス全史』で過去を、『ホモ・デウス』で未来を語った著者が、本書では現代を論じています。歴史・思想書を好む以前からの読者はもちろん、ビジネスパーソンのような新しい読者層も手に取る本だと感じて、書名等も工夫しました」(担当編集者の藤﨑寛之さん)

 該博な知識を背景にしたマクロな目線と、個人レベルのミクロな目線が結びついている。たとえば、AIによって人間が労働から解放される時代を想像するとき、ハラリの目線は、そこで生きる人々の精神的充足の問題まで辿り着く。政治から日常生活まで、アルゴリズムが人間よりも正しい判断を下すようになった世界を考える際には、人の自由意志の扱いに思いを馳せる。魅力的な語りに引き込まれるうち、世界の大問題を、自然と我がこととして考え始めてしまう。

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「世の中がますます不透明になり、世界全体の見取り図を与えてくれるような知識人が求められているような感触がずっとありました。ハラリはその状況下でついに現れた、稀有な存在なのだと思います」(藤﨑さん)

2019年11月発売。初版15万部

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

ユヴァル・ノア・ハラリ ,柴田裕之

河出書房新社

2019年11月19日 発売