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「一週間、朝から晩まで算数を」東大理Ⅲに子供4人合格 佐藤ママが教える『コロナ休校を味方につける勉強術』【中学受験篇】

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 小中高の全国一斉休校がスタートして2カ月半。「子供にはまるで終わりのない春休み。まったく勉強していません」「在宅勤務中は遊びたがる子供との戦い。静かにしてくれるからついYouTubeを見せてしまう」等々、ため息をつく親が多いのではないでしょうか? 多くの学校が5月末までは休校中。しかも6月に入れば学校が再開するのかも見えない……今、日本の教育は家庭がかなりの部分を担わざるをえない状況です。

「だからこそ私が恐れているのは、休校期間中に家でダラダラ過ごした子と、きちんと勉強した子とでは、学校が再開するころには驚くほどの教育格差がついているということです」

 と警鐘を鳴らすのは、息子3人と娘1人を東大理Ⅲに合格させたことで知られ、現在は教育・受験アドバイザーとして活躍する“佐藤ママ”こと佐藤亮子さん。子供たちが東京に進学するまでは、奈良県の自宅のリビングで毎日勉強のサポートをしていた佐藤さんは、「家庭学習はちょっとした工夫ではかどるようになる」「いまは時間があるのだから、それをうまく利用して」と言います。

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「この2カ月半で子供の生活時間がすっかり乱れてしまった」というご家庭でも、今から変えれば大丈夫。全4回の集中連載で、佐藤ママ流のコロナ下の勉強法を教えていただきます。第2回の今日は【中学受験篇】。

(全4回の#2/#1を読む/#3、#4は後日公開予定)

”佐藤ママ”こと佐藤亮子さん ©︎文藝春秋

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【ポイント1】とにかく復習。小1の単元から見直してみる


 今回の休校で一番焦っているのは受験生の親でしょう。私のところにも「塾も学校も休校になってしまって、受験に間に合うのでしょうか?」とたくさんのご相談をいただきます。

 心配になる気持ちも分かります。ただ、今のところは全く慌てる必要はありません。これが10月~12月であれば受験の仕上げの時期にあたるので、別の対処方法を考えなければいけないでしょうが、今はまだ5月で余裕があります。不幸中の幸い、むしろ「時間をたっぷりもらった」チャンスととらえてプラスに考えましょう。大切なのは、親が慌てる姿を子供に見せてはいけないということです。

 冷静に考えてみれば、今の時期からずっと気を張っているようでは来年の受験本番までに疲れ切ってしまいます。今回のコロナ禍のように先の見えない大変な時には、「まずこの1カ月にすべきこと」を考えると良いでしょう。とりあえず無事に1カ月を過ごせたら、また次の1カ月のことを考える。そうやって乗り切るんです。

 では、授業がない今の期間に何をやればいいのか。それは「復習」です。ただ、苦手な部分だけを復習するだけだと付け焼刃になってしまい実力がつきません。重要なのは根本から見直すことです。

 小学6年生であれば、1年生~5年生の漢字を全部見直してみるとか。「木」「山」「川」などの簡単な漢字も馬鹿にしないで、真面目にやり直すんです。意外と書き順を間違えて覚えてしまっているものです。例えば「山川草木」のような四字熟語、1年生で習う漢字ばかりですが、意味が言えますか?「さんせんそうもく」と読んで、「人間以外のあらゆる自然の総称」を意味します。こうやって基礎を見直しながら、新たな知識も深めていきましょう。

「週刊文春WOMAN」2020 春号

 算数が苦手な人は、「1+1」からやり直す。一桁の計算を馬鹿にしてはダメです。6年生でも、計算の遅い子に一桁の「1+1」「1+2」……「10+9」「10+10」までの合計100個の計算を、バラバラに並べて解かせてみてください。かなり時間がかかると思います。6年生になっても、なぜか算数の点数が取れないという人は、計算力が不足している場合が多いんです。

 最終的にはこの100個の計算を1分程度でできることが目標です。毎朝のウォーミングアップで計算をやるのもいいでしょう。計算問題は親がパソコンで打ち込んで印刷してあげてください。

 学校があるときは、子供は授業に、部活に、習い事に……と目まぐるしい日々を送っています。学校も塾もどんどんカリキュラムが進んでいき、テストもたくさんありますが、子供たちにとって、それらは受け身の作業で終わっていて、消化不良の部分があちらこちらにある状態です。しっかり復習をすることで初めて実力がつきます。

 基礎ができていなくて足元がグラグラしている子は、いつまで経っても受験問題が解けるようにはなりません。今回の休校を機に根本的な復習を心がけましょう。