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――黒田さんはいかがですか?

黒田 愛媛県って意外と将棋が盛んで奨励会に入るまでは、それほど不便だとは感じませんでした。地元に先生が数カ月に一度は来ておられて、他の地方の方にくらべたらプロ棋士を身近に感じていたと思います。ただ、奨励会に入ってからは、やはり練習相手を探すのが難しかったですね。

黒田四段(Zoomより)

三人とも「地元への感謝、恩返しをしたい」

 このように三者三様の「地方ならではの苦労」があった。ただ、三人ともそろって地元への感謝、恩返しをしたいという気持ちを口にする。

――黒田さんは、これからも愛媛に根ざして活動をしたいと言っておられますが、それはどういった想いからですか?

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黒田 地元の方にとてもお世話になったので、恩返しをしたいという気持ちです。ですから、できるだけ愛媛を拠点にして活動したいと思っています。

――では学校や会社などから、指導の依頼などあるといいですね。

黒田 まだそういった依頼はないんですが、もしあったら嬉しいですね。ぜひやらせていただきたいです。

長谷部 私も黒田さんと同じ気持ちで栃木に残りたいと考えています。せめてもう一人くらい栃木県から棋士が出たら、引越しを考えるかもしれませんが……。

長谷部四段(Zoomより)

武富 私は、今までのことはすべてよかったなと思っているんです。小学4年生から佐賀の大会に出ているんですが、女の子も私だけだったので、みなさん親戚のおじちゃんのように良くしてくださいました。田舎で情報量は少なかったですが、いろんなおじちゃんが「こういう本がいいよ」とか「こういう戦法がいいよ」と教えてくれました。

 プロになってからも「『将棋世界』に出てね」と声をかけてもらったり「あんたに負けて2年間、将棋をやめたよ」と言ってもらったり(笑)。とても温かい場所で、育ててもらったなと感じています。

武富女流初段は、バズるツイッターにも要注目

 武富さんは、今でも地元に気にかけてもらっているという話にからめ、自身のツイートの話をしてくれた。休みの日に作った詰将棋のパンケーキの写真が次の日には、ネットニュースの『佐賀経済新聞』に紹介されたという。こんなところからも、いつも地元の人には気にしてもらっていることをありがたく感じるそうだ。

武富礼衣女流初段のツイッターより

 なお武富さんは、このパンケーキのツイートの2週間後には「今日のネギかわいい」というツイートをして、これが2.9万リツイート、20万(!)いいねを記録している。武富礼衣女流初段は、バズるツイッターも要注目なのだ。

 ちなみに三人に「ステイホーム」期間の過ごし方を聞いたところ、「料理がいい息抜きになっている」という武富さんは、運動、片付け、ネットでのVSなど健康的に過ごしているという。黒田さんは、ネットでのVSと一人での研究、息抜きに音楽鑑賞。長谷部さんは、ネットでの指導対局と、コロナが始まる前に家にやってきた犬と遊ぶことを楽しみにしているそうだ。

【続き】 県にひとりだけしかいない棋士・女流棋士は、どうやって師匠を見つけたのか

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