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自立した個人が自由に働く――先駆者が語るアフターコロナのコミュニケーション術

『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する「未来のチーム」の作り方』より#1

2020/06/03

 それに加えて、自分以外の人の意思決定を増やす意図は、メンバーの自由を担保するためです。自由は、自分で意思決定できる場面や回数を増やすことによって得られます。自分で決定したぶんだけ仕事における自由度が広がっていくと思うのです。

 ただし、決めるのは案外簡単ではありません。意思決定には判断と責任を伴うからです。そのため、メンバーが意思決定できないものに関しては、最終的に僕が決定をするようにしています。そして、メンバーが意思決定をしたことに対して、何かが起こった場合、その責任は編集長である僕が持つようにしています。

【仕組み3】サイボウズ式の「チャット同時並行会議」

 編集会議のようなアイデアを出し合う場では、活発に発言をしてディスカッションを進められる人とそうでない人に分かれます。それは仕方のないことだと理解しているつもりですが、会議を主催する立場としては、なるべくみんなに積極的に参加してもらいたいと思うのが常です。サイボウズ式編集部は、アルバイトの学生を含めると、10人以上が会議に参加することもあります。数人の会議ならまだしも10人を超えると、アイデアを出し合うことを目的にした会議の運営は、途端に難しくなります。

「なるべく、みんなで意見を出し合いたい」。こう思っていたこれまでの僕は、意見の分散を個人のファシリテーション能力に頼っていました。特定のアジェンダを話しているときにメンバーの表情をうかがいながら、話せそうな人や話したそうにしている人を指名して、議論を膨らませていくやり方です。

会議で発言しない人も、チャットなら意見を言えることも

 これも悪くはないのですが人力に頼ったやり方ですし、もし僕が会議でファシリテーターの役割を担わなくなれば、この会議のやり方は再現できません。そして、ファシリテーターをしているときは、場のファシリテーションをすることで目一杯なので、自分自身が意見を出してディスカッションに参加することが難しくなります。

 そこで、編集会議にチャットツールを取り入れました。チャットを常時立ち上げておき、会議中に自由に書き込んでもらうようにしています。このやり方を取り入れてみると、人前や会議で発言するのが苦手な人でも、積極的にチャットに書き込みをしてもらえるようになりました。その人はどちらかというと寡黙で、会議中も積極的に発言をするタイプではありませんでしたが、チャットにはどんどん書き込みをしてくれるのです。「あまり意見に自信がないから言いづらいな」というような細かなアイデアも、チャットなら気軽に書き込めるからです。

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