昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

自立した個人が自由に働く――先駆者が語るアフターコロナのコミュニケーション術

『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する「未来のチーム」の作り方』より#1

2020/06/03

可視化された意見を見ながら議論が深められる

 編集会議にチャットを取り入れたことは、ほかにもいい効果をもたらしました。そのひとつが、ファシリテーション役の分散です。編集会議のファシリテーター役を、編集長の僕ではなくアジェンダを作ってくれた企画起案者が自発的にしてくれるようになったのです。

 例えば、編集会議で企画の検討を進める場合、まずは起案者が「この企画のこういうポイントで困っています、みんなでアイデアを出し合いたいです」と伝えます。次に、アジェンダとして記載された企画の詳細を5分ほど読み、各メンバーが気づいたことをチャットに書き込みます。

 知りたいポイントがチャットに書き込まれたあと、起案者はチャットを確認し、出てきた意見を寄せてくれた人に話を振り、詳細を聞く流れに自然となっていくのです。

 ほかに、チャットを使うと論点が言語化され、それをみんなで認識しながら会議を進めていけるのもメリットのひとつです。特に会議が白熱すると、議題の論点を忘れて自分の言いたいことを言いがちになったり、声の大きい人が発言し続けることに陥りがちになります。そういった場合、よくある解決法は、ファシリテーターがホワイトボードを使って論点を整理して議論を深めていくやり方ですが、チャットにはすでに可視化された意見があるので、コメントを見ながら的を射た議論ができます。

みんなでディスカッションできるチームになる

©iStock.com

 また、ビデオ会議で参加する人がいる場合も、チャットツールを使うことで参加しやすくなります。前述のように、サイボウズ式には新潟県在住でリモートワーク中心の働き方をしているメンバーがいます。彼には基本的に、ビデオ会議で参加してもらうのですが、通常の会議に比べて議論に参加しにくいと感じたそうです。「まるで大縄跳びになかなか入れないときのようだ」と表現していました。例えば4~5人で会話をしているときに何か言いたいことがあったとしても、タイミングを見計らってしまい会話に入り込めなかったようです。

 しかしチャットツールを使うとタイミングよく意見を書き込めます。ファシリテーター役の人がビデオ会議中でも書き込みをチェックし、指名して意見を聞くことができるのです。

 また、チャットにはログが残るので、どういったディスカッションが展開されたかをあとから振り返ることもできます。その意味ではチャットのやりとり自体がすでに簡易的な議事録になっています。議事録は会議において大事なものですが、議事録を書く役割の人は会議のディスカッションにはなかなか参加しにくくなります。チャットのログは議事録を取る人をなくし、みんなでディスカッションできるチーム作りにも寄与してくれました。最後に僕は、編集会議が終わったあとにチャットのやりとりを見返して、ネクストアクション(次の行動)が必要な議題を拾い上げ、みんなにオンライン上でお知らせをしています。