昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/06/02

genre : ニュース, 社会

計7人にも及ぶ大量死の疑い

 この6人とは、前述の4人に加えて〈緒方の妹夫婦の長女(14)と長男(9)〉のこと。同記事には彼ら6人について、〈生死にかかわる何らかの事件に巻き込まれている可能性もあるとみて、福岡県警の捜査本部は所在確認を進めている〉とある。なお、同記事中の全員の年齢については、この時点で生存していた場合のものであることを付記しておく。

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

 ここにきて、由紀夫さんに加えて緒方の親族6人という、計7人にも及ぶ大量死の疑いがあることを暗示する記事が出てきたことに、驚きを禁じ得なかった。

 この記事が出た日の夜、捜査幹部は夜回りの記者に対して、次のように口にしている。

「緒方被告の親族6人不明の話は、みなさん昔から知っていた通り。読売がなぜあんなに大きく書いたのかは知りません。これに絡む事件化の話は、私の耳には入っていません」

 素直に受け取ると否定しているように聞こえるかもしれないが、役人とのやり取りで相手が「私は聞いていない」や「私は承知していない」と言う場合、往々にして取り上げた出来事が存在することを意味する。ただし、現実がそうだとしても、言質が取れたということにはならない。

緒方の妹の長女・花奈ちゃん殺害容疑で家宅捜索

 メディアの事前の見立てでは、再々逮捕はゴールデンウイーク明けということだったが、5月6日を過ぎてもそうした兆候はなかった。一方で捜査本部は先の『読売新聞』の記事を裏付けるような捜査の動きを見せる。5月9日に『片野マンション』を改めて家宅捜索したのだ。しかもその際の令状は、緒方の妹の長女・緒方花奈ちゃん(仮名)殺害容疑で取られたものだった。

 今回の家宅捜索では捜査員の他に、住宅設備業者や北九州市水道局職員など総勢約50名が現場マンションに入り、数日をかけて浴室のタイルや配管、沈殿槽などを切断して押収している。

 捜査幹部によれば、「(この家宅捜索は)基本的には保護されている少女の話がベースにあり、義務教育時期の子供の生存確認ができない異常性を加味して捜索令状が取れた」とのことだった。また、失踪している緒方家の6人については「親族から捜索願が出されており、いずれも死亡確認はできていない」という説明に止まった。

写真はイメージ ©iStock.com

 ちなみに別の捜査員は、保護されている清美さんの記憶力について「驚異的」と評したうえで、「少女(清美さん)が死を目撃しているのは父親と緒方の姪の花奈ちゃん。いずれも同じ手口で殺害され、遺体を捨てられたと供述している。緒方の甥については、電気コードでの虐待は目撃しているものの、その死は見届けていない。突然消えたそうだ」と語っている。