昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/06/02

genre : ニュース, 社会

再々逮捕は詐欺・強盗容疑

 結果的に家宅捜索は5月19日までの10日間にわたって続けられるのだが、その最中である5月16日に、松永と緒方への再々逮捕が執行された。

 逮捕容疑は原武裕子さん(仮名)への詐欺・強盗。逮捕事実については、詐欺容疑が松永と緒方が結婚話などを餌に、カネを騙し取ろうと共謀のうえ、1996年7月下旬から9月下旬にかけて、裕子さんから現金合計約350万円を騙し取ったというもの。その際、裕子さんに対して松永が弟、緒方が姉を装い、「結婚するためにはカネがいる」(松永)、「自分たちは広島に土地を持っているので、心配しなくてもカネは返す」(緒方)と嘘を言って信用させ、現金を用意させていた。また松永は「将来、小説家になるために、まだカネが要る」とも話していた。

 続く強盗容疑については、北九州市小倉南区のアパートで裕子さんに対し、電気コードを使用して身体に通電させ、激しいショック状態を起こさせる暴行を繰り返して反抗を抑圧したうえ、1996年12月末頃から97年3月中旬までの間、前後7回にわたって現金合計約200万円を強取したというものである。

 この再々逮捕時の弁解録取書については、松永、緒方はともに署名、押印をせず、松永は「黙秘します」、緒方は「なにも言いたくありません」との反応だったことが明らかになった。

事件について伝える『週刊文春』2002年3月28日号の記事 ©︎文藝春秋

 なお、これは後にわかったことだが、「詐欺・強盗」容疑は当初からの予定ではなく、途中で変更されたものだった。福岡県警担当記者は言う。

「最初は詐欺と恐喝容疑の予定で捜査を進めていたそうですが、(捜査本部の)班長が『どうしても松永と緒方のふたりを許せない』と言い出して、『恐喝ではなく(より罪の重い)強盗で立件しよう』となったんです。その話に対して福岡地検もまんざらではなかったようで、捜査内容を詰めに詰めて、強盗容疑での立件になりました。再々逮捕の時期が遅くなったのもこのことが理由で、地検との詰めの作業に時間がかかったからだと聞いています」

 さらにこの再々逮捕に絡んで、松永が裕子さんに対して「いまは塾の講師をしていて月収が100万円ある。将来、小説家になるため家にこもるので、当面の生活費が要る」とカネを騙し取っていたことがわかった。