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連載クローズアップ

「新聞記者」、米津玄師のMV……話題作を手掛けた撮影監督が明かす“面白い作品を作る方法”

今村圭佑(映画監督・撮影監督)――クローズアップ

2020/05/31

 今年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』。実際の事件を彷彿とさせる内容で話題になったこの社会派映画の撮影監督を務めたのが今村圭佑さんだ。他に映画『帝一の國』や、米津玄師のMV『Lemon』など、多くの作品でカメラを回してきた彼が初めて映画のメガホンを執った。生き別れになっていた兄弟の再会を通して、切なく温かい家族の感情を描いた『燕 Yan』(6月5日より全国順次公開)だ。

今村圭佑監督

「監督には興味はなかったんですけど、プロデューサーの松野(恵美子)さんから監督をしてみないかと依頼されたんです。ちょうどカメラマンになって4~5年が経ち、順調ではあったものの、物足りなさや新しいことができたらいいなという気持ちが芽生えていた頃だった。それが『自分はどこにいるのか』という映画のテーマにも通じて興味深かったので撮影も兼ねて引き受けました」

 舞台は台湾・高雄。湿度の高さや雑多な雰囲気。主人公・燕(水間ロン)の戸惑いや焦燥。台湾の人々の大らかさや優しさ。異国情緒と人々の情感が交差する映像が印象的。

「脚本作りの前に台湾各地を巡って登場人物を見据えることができたのが大きかったです。単純に背景がいいとか光がきれいなだけでは美しい画にはならない。ストーリーや感情と連動した時に初めていい映像になると思うんです。最終的に高雄を選んだのはラストに出てくるあの家から見える海が、燕のお母さんのいた場所としてふさわしかったからです」

 手応えを感じ、今後も映画の監督をしてみたくなったと語る。映画、MV、CMと幅広く活躍している彼にとって大切にしていることは?

「全てをやること。映画だけだと映画っぽいもの、MVだけだとMVっぽいものになりますが、そこを飛び越えるとCMに映画っぽさを取り入れられる。ないものにあるものを持っていくことで面白い作品ができると思っています」

いまむらけいすけ/1988年、富山県生まれ。これまでの撮影作品に映画『新聞記者』『サヨナラまでの30分』など。撮影を務めた『約束のネバーランド』が年末に公開予定。

INFORMATION

映画『燕 Yan』
http://tsubame-yan.com/

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