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2020/06/06

「オスのリーリーには、昨年11月から繁殖期特有の行動が見られていたのですが、メスのシンシンに発情の兆候が今のところ見られていません」 

 海外では、ロックダウンの影響で臨時休園していた香港海洋公園で、10年間交尾を避けてきたインインとリーリーが、ついに交尾したというおめでたいニュースがあった。しかし同園のパンダにはあまり関係がなかったようだ。 

ツイートを発信した園長の思い 

 パンダたちの様子はツイッターでも知ることができる。同園は臨時休園中も、公式ツイッターのツイートに「#休園中の動物園水族館」や「#おうちzoo」というハッシュタグを付け、さまざまな動物の様子を伝えているのだ。中でも、パンダたちにスポットを当てたハッシュタグ、「#デイパン」は、その日のパンダたちの様子をリアルに知ることができる。 

休園初日となる2月29日のツイート  ©(公財)東京動物園協会

 出勤するスタッフの人数が制限している今、こうして積極的にツイートを始めたのには、“動物たちの様子を、もっと積極的に発信したい”という福田豊園長の思いがあったからだという。

「#デイパン」を開始した3月2日には、園長自らがカメラを持ち、ジャイアントパンダやアシカ、ハシビロコウなどを撮影。あいにくの雨の中、撮影時に傘を飛ばされても、熱心に撮影を続ける園長の姿が、アシカプールのガラスに映り込んでいる。 

ガラスに映り込む園長  ©(公財)東京動物園協会

「園長の思いの原点は、2011年の東日本大震災です。この時、当園は3月17日から31日までの15日間休園しました。再開園した時、来園されたお客様のうれしそうな様子を見て、園長は、“動物園には、人を和ませるという大事な役割がある”と感じたのだそうです。その経験があるので、今回も動物園からの発信を大事にしているのです」と佐藤さん。 

 同園では、このツイートの他に、YouTubeチャンネルでムービーの配信も行っている。動物園に行けない私たちに動物たちの様子を伝えるために、忙しい合間をぬって情報を発信してくれているのだ。 

「#デイパン」を発信しているのは 

 動物たちの自然な様子に、筆者はてっきり担当飼育職員が撮影していると考えていた。しかし、現在ツイートを担当しているのは、ふだん園内のガイドツアー等を担当している動物解説員なのだという。 

「動物解説員の人たちは、いろいろな動物にとても詳しいのです」と佐藤さん。動物たちのことをわかりやすく伝える専門のスタッフだけあって、ツイートの内容も勉強になるものが多い。現在は出勤人数を制限している関係もあり、3名の動物解説員が交代でツイートをしているのだそう。 

ツイートより。まるで“おにぎり”みたい ©(公財)東京動物園協会

「ジャイアントパンダを直接見ていただくことのできない現在、できるだけその日のリアルな様子をお伝えするようにしています。ジャイアントパンダはとてもよく寝る動物です。体もやわらかいので、いろいろな格好で寝ています。アクティブに動いている方が、動画などでは映えるのでしょうが、そんな自然な様子も伝えたいと思ってツイートしています」 

「中国の高山の森という生息環境に合ったジャイアントパンダの体つきや、タケを食べて栄養をとるための様々な工夫などを具体的に知ることで、パンダをただ“かわいいアイドル”として見るのではなく、野生動物としての面白さや素晴らしさを感じていただきたいと考えて撮影・発信しています」(解説員からコメント)