松尾夢華(まつおゆめか)さん、18歳。

中学3年生の春、骨のがん「骨肉腫」を発症し、腫瘍が見つかった左足を切断。
抗がん剤治療、義足の生活、そして再発…。
少女に試練は幾度も襲ってきた。

それでも現実を受け入れ、前を向いて必死に生きていく。

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日本では現在、2人に1人がガンにかかる時代だといわれている。病気は誰にでも、いつふりかかってくるかも知れない。もしその状況になったときどうするか。

前編では、病を発症して1年を超える入院生活を続けながらも、中学校の卒業、そして受験、高校生活まで進んでいく夢華さんを追う。
 

バスケットボール部の活発な少女が、中学3年で骨肉腫に

 

「夢は、走ることやね。鬼ごっことか普通にできればいい」

そう話す松尾夢華さんは、長崎市の北部・琴海地区で暮らしている。

夢華さんは7人家族。母親の南美江さんは福祉関係の仕事を、父親の俊之さんは、地元の店で仕出し料理や菓子作りをする職人だ。

 

5人兄弟の三女として生まれた夢華さんは、病気になることもなくすくすくと成長。幼い頃から走ることが大好きだった。

小学生からは地元バスケットボールチームに所属し、中学校でもバスケ部に入部。

しかしキャプテンも務めるほどバスケに熱中していた中学3年の春、左足膝付近にがんが見つかってしまった。
 

15時間に及ぶ手術。夢華さんと両親の複雑な胸の内

2015年9月。
両親が見守る中、夢華さんは手術に挑んでいた。手術前の抗がん剤治療で髪の毛は抜けている。

 

病気がわかった時の気持ちを聞くと、親には言えない本音を明かしてくれた。

「何で?みたいな。めっちゃ泣いた。でも兄弟多いけん、親にそんな負担をかけたくないし、親の前では泣かない」
 

病名は骨肉腫。小児の骨に発生しやすい骨のがんだ。
10代に発症しやすく、日本でこの病気にかかる人は1年間に150人ほどだと言われている。発症の原因は、はっきりとわかっていない。

命を守るため、左足の膝上から下を切断することになった。