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渡部建、箕輪厚介、キッズラインの経沢香保子……成功者たちの夕暮れ

「バレなければ何をしてもいい」とやり得を目指す素敵な面々

2020/06/18
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銀座では、秩序を守れない紳士は排除される?

 若いうちは何をしたっていい、よほどのことがなければ人生はやり直しがきくし、後悔のないよう思い切って生きたらいい。人生相談をされたらそう応えることにはしています。でも、その場では「この人はいい人だ」と思っても、実際には全く違う顔を持っていることは往々にしてあるし、金持ちだと思って付き合ったはずなのに数万円のはした金も出し渋るし、結婚相手を探しているというので交際していたら実は妻子持ちであったことを知ったという逸話はゴマンとあります。お前ら何をしているのでしょう。

 そして、そこに横たわるのは「この話は内緒ね」という薄い薄い指切りげんまんで守られた紳士淑女のヒミツです。つい先週「誰にも言わないでね」と聞かされた話が、今朝になって週刊誌記者とのチャットで「こんな噂があるんですけど」と回り回って聞かされることは数多くあります。なんという下半身情熱大陸。もうね、ホッカホカの大陸に性欲の大洪水であります。自衛隊出動レベル。

渡部建 ©文藝春秋

 そういう氾濫原のような世の中で、不埒なことをしでかす人たちはたくさんいます。ホテルまでついていったら殴られた。多目的トイレやカラオケ店の小さなブースの中で犯された。勤めているお店のアフターだと思ったら変な薬を飲まされた。こういう話は有名人であるほど、また、どこぞの企業の経営者や幹部のような立場ほど、あっという間に話が広がる運命にあります。

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 銀座の夜の街クラスタはそういう大人の遊びで家庭が壊れないようにきちんと女の子を教育し、そういう秩序を守れない紳士は排除されるのだという伝説もあるけれど、以前本を出してるような名店OGの著名なママさんが中心となって、下半身のだらしない紳士の皆さんから阿吽の呼吸でカネを巻き上げるユスリネットワークみたいなものがあるのだと聞かされたときは、小説以上に面倒くさい事実がそこにあるのだと思い至るのです。

「バレなければ何をしても大丈夫」というサイコパス的情念

 しかしながら、男というのは馬鹿な生き物で、どういうわけか「俺は大丈夫だ」という感情に支配されることがあるのです。「俺だけは感染症にはかからない」とか「あいつは裏切らないから情報は洩れない」などと根拠のない自信を持たず、一言でいいから当人に「迷惑、かけてないか」と聞き質して、何か配慮をされているのであれば「ありがとう」のひとつでも言えれば。あるいは、相手が実は傷ついていて、そこで「あのときは悪かったね。ごめんね」とでも頭を下げていれば。

©︎iStock.com

 何よりも、そういう根拠のない自信が何を守っているのかと言えば「バレなければ、何をしても大丈夫だ」という非常にサイコパス的で、非倫理的で、背徳的な情念です。

 事件が起きてこじれた後で、あれだけ権勢を誇っていたおっさんが青菜に塩状態で弱り切って、顔見知りではない弁護士を紹介して欲しいと相談に来られたときは、さすがに懲りたのかなと思うんですよね。知り合いの弁護士に頼むのは恥ずかしいというのは皆さん共通して仰いますが、いや、私に対しては恥ずかしいとは思わないのでしょうか。でも、2週間もすればケロっとして別のハプニングバーやクラブで他の女性とやらかしている。濃厚接触してるんじゃねえよ。

 こういうのを、古来から「脇が甘い」と表現するんですよね。