「金原会長は辞任されましたが、影響力を残すことになりました」
2019年12月に「新生テコンドーを応援する会」が発足、卓球協会の木村興治名誉副会長が新会長に就き、バスケットBリーグの千葉ジェッツの島田慎二会長が副会長に就任した。理事も刷新され、“テコンドーがようやく変わった”という報道が晴れ晴れしく行われる。
一方で、検証委員会が下した“シロ判定”が尾を引いていくことになる。ネット上でもこのシロ判定を根拠に高橋や岡本、江畑の行動に対し、いまだに誹謗中傷する投稿が散見される。
――新体制になってすべてが改善されたというイメージで捉えられていますが、高橋さんはまだ問題が解決されていないということを感じているわけですね。
「金原会長は辞任されましたが、結局、その影響力を残すことになりました。非常に情のある方なんで、強化体制についても適材適所というよりは、仲の良い人がやっぱり先にきてしまう」
――金原元会長の影響力はどのようなところで出ているのでしょうか。
「今年2月には、強化委員長に前日本代表監督で実績もある山下博行が3年ぶりに選任されました。これはとても喜ばしいことなのですが、その片腕と目されて誰もが代表チーム入りを望んでいた大東文化大学の金井洋監督が含まれていません。これは残念ですが、金原さんの介入によるものなのです」
金井監督の指導実績は結果が能弁に語っている。2月に行われた東京五輪の最終選考会では4名の代表選手が決まったが、その内の3名が大東文化の出身で金井の指導を直接受けているのだ。
関西を拠点にしている江畑でさえ、金井に対する信頼と評価は極めて高い。
「金井さんは代表の強化に入って欲しい人、ではなくて入らなくてはいけない人なんですよ。普段の練習だけでなく、大きな大会になると選手の力が7割でそばについている指導者の力が3割なんですよ。7の力を10に引き出してくれる人がいないとダメなんです」
再び高橋に聞く。
――テコンドー関係者の誰もが望むこの強化人事が進まないことに対しての動きはあるのでしょうか?
「実際に選手も動いています。金井監督の代表コーチ入りを境田さんに直談判した選手がいたのですが、境田さんの説明は『金原さんが金井監督の代表入りを妨害した』というものだったそうで、選手たちも納得していません」