キーパーソンに直撃「なぜ、金原体制に“シロ判定”を下したのか?」
テコンドー協会の改革のキーパーソンである検証委員会の境田委員長に直接話を聞いた。新体制に向けて劇的な変化をもたらした境田の功績は大きい。一方で高橋や江畑が疑問を投げかける前体制への“シロ判定”についてはどのように考えているのか。
――なぜ、選手の訴えがありながら“シロ”としてマスコミに発表したのですか。
「(前体制が協会を)私物化していたのは間違い無くて、透明公正なガバナンスが効いていたかというと、機能はしていなかったです」
――それは事実だったわけですね。
「事実でした。そこは僕も発表に際して微妙に言い方を変えていて、『スポーツ庁が出しているガバナンスガイドラインの違反は無かった』ということです」
――その基準で違反は無いけども実質的に私物化していたと感じていたわけですね。
「ただそう書かれると、彼(金原前会長)が暴れますから」
――しかし、もう会長から外れているわけでしょう。
「外れているんですけど、高橋さんや岡本さんへの嫌がらせや攻撃は続いていますからね。問題があるから、(金原さんに)辞めてもらったのは事実ですから。ただその後も関わろうとするわけですよ。いろんな手を使って影響を与えて来ます」
――強化体制の刷新で山下前代表監督の復帰には選手たちは喜んでいました。しかし、誰もが望む育成、強化の第一人者である大東文化大学の金井監督が戻れないという事実があります。それには金原さんの介入があると言われていますが。
「そう」
――そんなことが許されるのでしょうか。
「……許されない」
◆◆◆
2月の東京五輪代表最終選考会の会場には、金原前会長の姿があった。一方で会場に来なかった新理事もいる。形は整えられても内実はあまり変わっていない……高橋の懸念は当たりつつある。
東京五輪は延期が決まった。テコンドー協会の新体制の変化で言えば、5月末、副会長の島田慎二がバスケットボールBリーグのチェアマンに就任することが決まった。テコンドーでも理事として関わっていくこととなったが、両立は厳しくなるのではないか。
いま高橋は現状を踏まえてこう語る。
「私はしっかりと、裁定をし直して欲しいです。私への嫌がらせがあったとしても、テコンドー界全体を良くすることからすれば、それは些末なことです。強化体制の問題を見れば、しっかりと真実を見直すことが必要です。私はもう理事でもアスリート委員長でもありません。何ができるか分かりませんが、それでも声をあげたのは、テコンドー選手のために力になりたいと思ったからです」