「金与正がクビにしたのも同然ですよ」(中道系韓国紙記者)
北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破した翌17日、韓国の統一相は辞表を提出。2日後には、文在寅大統領によって裁可された。
“南北融和の象徴”の爆破から始まった北朝鮮との危機直面に、韓国では今、外交安保ラインの交代論が急浮上。特にひとりの人物を巡る去就に関心が集っている。
空いた「統一相」のポストに名前が挙がっている人物
冒頭の記者が言う。
「前統一相は米朝が決裂したベトナム・ハノイでの会談(2019年2月)以降に就任した人物。『ともかく、南北関係が進展するよう驚くような仕掛けを作れ』というミッションがあり、青瓦台、外務省、国家情報院が必ずフォローするという話になっていた。ところが、結局進展は何もなく、批判に晒されていました。ただ、南北関係がこれほどまでにこじれた責任は今の外交安保ラインにもある。当然、交代すべきでしょう」
人事刷新で挙がっているポストは空席となった統一相、そして、青瓦台の国家安保室長、国家情報院長。そして、これらのポストを巡りキーパーソンとして名前が取り沙汰されているのが任鍾晳・南北経済文化協力財団理事長(元青瓦台秘書室長)だ。前出の記者が続ける。
「任元秘書室長は現在、統一相候補として名前が挙がっています。また、鄭義容・青瓦台国家安保室長の更迭、その後釜に徐勲・国家情報院長がスライドして収まり、空席となった国情院長のポストに任元秘書室長が就くというシナリオも噂されています」
鄭国家安保室長と徐国情院長は、対米と対北の両翼を担っている。鄭室長は米朝双方の特使を務め、米朝首脳会談に深く関わっていた人物。23日に刊行されたジョン・ボルトン前米大統領補佐官の回顧録『それが起きた部屋』では、「(米朝首脳会談は金正恩氏が言い出したのではなく)鄭氏が先に金正恩氏に提案したことを認めた」という趣旨が記述された(鄭国家保安室長は事実と異なると反論)。
一方、徐国情院長は、28年間、国情院に勤めた経歴を持ち、2000年と07年、そして18年の3回の南北首脳会談を成功させた韓国きっての北朝鮮通で、「文大統領の信頼は誰よりも厚い。そのため、文大統領は(彼を)手放さないでしょう」(前出記者)。