オンライン授業を開始する際に障壁となるのは、家庭にネット環境がない子どもがいることだ。このため多くの学校が、「教育の機会均等」に抵触すると、オンライン授業の導入に二の足を踏んでいた。かといって、1人に1台端末が揃うのを待っていては、今そこにある危機に対応できない。
江東区では昨年から各小中学校にタブレットを80台配布していた。そこでこの学校では区の指示の下、ネット環境のない子どもにはタブレットとルーター(区から提供)を貸し出し、自宅に端末がある子どもには自前のものを使うよう指導した。
先生はオンライン授業を「やらず嫌い」なだけ
前述のように教室で必要なものは、Zoom機能のついた端末と三脚。生徒の家庭にはスマホやタブレット、Wi-Fiルーターがあればオンライン授業は成立する。
しかし「そんなに難しい話じゃないのに、それでも当初はオンライン授業をやろうという先生がほとんどいなかった」と潮田さんはいう。
「先生は皆、オンライン授業を見たことがないので、実態を知らなかったのです。だからオンライン授業を始めたとき、タブレットを職員室に持って行き、授業の様子を見せました。そうすると『あ、こんなものですか』となって、少しずつ理解されるようになったんですね」
結局、多くの教師はオンライン授業を「やらず嫌い」なだけだったのだ。
「やるか、やらないかだけです。7月に全校登校になると、先生は『わざわざオンラインを学ぶ必要が無くなった』となるかもしれません。しかし、第二波が来たときに、皆困りますよね。もしコロナが無くなっても、インフルエンザで休んだ子どもや不登校の子どもに、オンライン授業は絶対役立つので、今後もやりましょうと学校を説得しています」(潮田さん)
濱石先生もこう言う。
「分散登校が終わった段階で、オンライン授業はいったん終了する予定です。しかし、休みがちの子どもから『家でも授業を聴きたい』とか、要望があった場合にはまたやろうと考えています」