2020年7月に「日中共同飼育繁殖研究」の契約期間を満了し、中国へ戻る予定の神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(旦旦)。当初は、7月となっていた帰国予定日だが、新型コロナウイルスの影響で、今のところ未定となっている。
20年間みんなを元気づけてくれたタンタン……。タンタンって、どんなパンダだったの? お別れ会は開かれるの? タンタンが行く施設って、どんなところなの?
新型コロナウイルスの感染拡大防止策のため、ジャイアントパンダの観覧が抽選制となっている同園。なかなか気軽に行けないし、情報が足りない! 気になってしかたないタンタンのことを、担当飼育員さんと、同園の園長に聞いた。(前後編の前編/後編はこちら)
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タンタンの飼育員さんは2人
新型コロナウイルスの影響で、休園していた同園も6月1日から開園。当初は兵庫県民と、同園に寄付をしている動物サポーターのみの入場だったが、他府県の人間も6月29日から平日のみ、7月13日(月)からは、土日も含め、抽選制でタンタンの観覧が可能となっている。
7月3日からは、園内が混雑していない場合に限り、だれでも当日入園が可能となっているが、タンタンの観覧には、公式ホームページからの事前申し込みが必要なので、注意が必要だ。
タンタンを担当する飼育員は、梅元良次さん(38)と、吉田憲一さん(51)の男性2人。なんだか少ない気もするが、「うちはタンタンだけなので、2人で回してます」と梅元さん。1頭に2人なのだから、恵まれているのかもしれない。
2人がタンタンの担当になったのは、梅元さんが2008年、吉田さんは2009年。2人とも、タンタンとは10年以上のつきあいとなる。出会った頃と今とでは、タンタンは何か変わったのだろうか。
「タンタンは基本おっとりだけど、神経質でマイペース。でも、年を重ねるにつれて、落ち着いてきた感じはしますね」と梅元さん。「だいぶ、堂々としてきたよね」と、吉田さんもうなずく。
入園者に背中を向けてえさを食べたり、前足で顔を覆って眠る姿から、“恥ずかしがり屋”と称されるタンタンだが、そのあたりも変わってきたのだろうか。
「タンタンはいまでも後ろを向くこともあります。その辺を指して、恥ずかしがり屋というのかな? そのあたりはぼくらも、正面にえさを置くなどして、工夫しています」(梅元さん)
タンタンが同園にやってきたのは4歳のとき。担当になったのは、梅元さんがタンタン12歳、吉田さんがタンタン13歳の時から。年齢と共におおらかになってきてはいるものの、基本的な性格は変わっていないようだ。