実はグルメなタンタン!
現在24歳のタンタン。人間で言えば70代と高齢だが、食欲は衰えていない。しかも、めちゃくちゃグルメなのだという。
前述の通り、多くのパンダが好きだというハチミツには、なぜか興味を示さないそう。「りんごの方が、圧倒的に好きだよね。仕方ないから、りんごにハチミツ塗って、そしたらやっと食べる感じ」(梅元さん)。香りの強いものが、好きだというタンタン。一番の好物は、ぶどうなのだという。
「気に入らない竹を食べないのは、当たり前。日常の光景です」と梅元さん。「同じ場所から、同じ人が持って来た竹でも、束によって全然食べない。毎週、好みが変わるんですよ」と吉田さんも笑う。
「おいしそうに見える、緑の葉っぱは食べないんです。ちょっと古い黄色い感じの葉っぱが好きなんですよね。アドベンチャーワールドの永明さんも、そうだと聞いてます」と梅元さん。
永明もかなりのグルメだというが、タンタンも負けてはいないようだ。
園内にも、タンタンのために、竹を植えているのだという。「竹というよりは、タケノコを食べさせるために植えてるんです。老齢なので、歯の摩耗を防ぎたくて」と梅元さん。パンダは固い竹を食べるため、年を取ると、どうしても歯が摩耗してきてしまう。
「日本国内から中国まで探して手配して、園内にも植えて、年中タケノコを切らさないようにがんばっています。秋に採れるタケノコがあるんで、収穫が間に合えば、食べさせてあげたいな」と吉田さん。
これだけ、タンタンのことを思っているお二人。帰国の話を聞いて、どう思ったのだろうか。
「帰国の話は、全然予想していませんでしたね。今回も伸びると思っていた」と梅元さん。タンタンの帰国は過去に2回、5年ずつ延長されているのだ。
「ぼくも、まったく予想していなかった」と吉田さん。梅元さんも「さびしい。最後までめんどうをみる覚悟でいたし、みてあげたかった」と肩を落とす。
吉田さんは「まだ日も決まっていないし、実感がわかない。でも、タンタンが行く予定の都江堰(とこうえん)基地は、ぼくも梅元君も行ったことがあるんですが、すごくいいところ。施設も設備も整っている。最後にパンダがたくさんいる故郷に帰るのが、タンタンにとっては、安心なのかなという気持ちもあります」と、複雑な胸の内を教えてくれた。