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連載クローズアップ

「警告を与えるのはすごく大事なこと」“反トランプ”ジム・キャリーの痛烈な批判精神

ジム・キャリー(俳優)――クローズアップ

2020/07/08

 お笑い男が、このところ真面目なのである。

 ハリウッドで最も人気のあるコメディアンだったジム・キャリーは、近年、反トランプの政治風刺アーティストとして大活躍。あんなに絵が上手かったこと自体ももちろんだが、ニュースがあるたびに新作をツイートするスピードも衝撃的だ。一昨年秋にL.A.のギャラリーで開かれた個展には、なんと100点以上が展示されていた。そのどれも、痛烈な批判精神にあふれていた。

ジム・キャリー

「警告を与えるのはすごく大事なこと。僕はそれを、楽しく、芸術的な形でやりたい。世の中は今、正直さという大事なものを失おうとしている。だから、僕は剣を持つのさ。僕も参戦するんだよ」

 そんな彼が『ソニック・ザ・ムービー』で久々にビッグスクリーンに復帰するのは、偶然ではない。セガのゲームの映画化作品と政治をつなげる人は、普通、いないだろうが、キャリーにとって、このふたつは密に関係している。彼が演じるドクター・ロボトニックは、主人公ソニックを追い回す悪役。ロボトニックが何もかもを制覇しようとしているところに、キャリーは、実社会との共通点を見るのだという。

「ロボトニックは、究極の権力を求めている。愛を持たずに生まれてきた彼は、他人をコントロールすることでそれを補おうとする。今作の一番のテーマは友情。こいつには友達がいない。そんな奴が友達のいる人々を苦しめるんだ。一方で、ソニックは純粋さを象徴するキャラクター。ソニックは、ロボトニックが触れることすらできないものを持っている。そして、純粋さというものには、恐るべきパワーがあるんだ」

 だが、ご心配なく。今作は決して説教臭い映画ではない。子供連れで見るのに最適な、とてもよく出来た娯楽映画な上、キャリーは『エース・ベンチュラ』や『マスク』を思い出させる、いい意味でめちゃくちゃ大げさなコメディを見せてくれる。

「意識していたわけではないが、たしかに波長は似ているね。それはいいよ。ハロウィンの夜に、自分が演じたキャラクターの扮装で出かける人を見ると、僕はすごく嬉しいから。『エース・ベンチュラ』を1000回見ました、なんて言われるのも大歓迎だ」

 この後は、自伝的小説と、政治風刺アートのコレクション本の出版が控える。コメディアン、演技派俳優、画家、そして今度は小説家と、いくつもの分野で成功する彼に、「あなたのようになりたい若者へのアドバイスをあげるとしたら?」と聞くと、答えはこうだった。

「今という瞬間だけに向かい合うこと。脳(マインド)と感情(ハート)、どちらをも、今だけに集中するんだ。すべての優れた発明家や芸術家は、それをやってきている。たとえば今だって、僕は、君と話すこと以外、何も考えていないよ」

 ビデオゲームの映画についてのインタビューが、まさかこんなに深くなるとは。

Jim Carrey/1962年カナダ生まれ。『ケーブルガイ』で、ハリウッド史上初めて1本1000万ドルのギャラを稼ぐ俳優に。『マン・オン・ザ・ムーン』などシリアスな演技でも評価される。

INFORMATION

映画『ソニック・ザ・ムービー』
https://sonic-movie.jp/

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