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稲田・堺・落合ラインが広島地検を動かした。そうすれば……

「捜査は当初、7月中の『勇退』が決まった稲田伸夫検事総長、元東京地検特捜部長の堺徹次長検事、元特捜部副部長の落合義和最高検刑事部長のラインが主導する形で、現場の広島地検を動かして行われていました。

 河井夫妻などについて捜査をさせたくない首相官邸は昨年末、官邸に近い黒川弘務前東京高検検事長を検事総長に据えるため、法務事務次官を通じて稲田氏に退任を求めましたが、拒否されたことから、官邸側は1月31日、黒川氏の定年延長を強引に閣議決定したのです。

法務省検察長官会同で訓示する森雅子法相と、左は稲田伸夫検事総長 ©共同通信社
林真琴東京高検検事長と賭け麻雀問題で辞職した黒川弘務前東京高検検事長 ©時事通信社

 このため東京地検特捜部を本格投入すれば、上級庁の東京高検トップを務める黒川氏が決裁ラインに入り、捜査を『邪魔』されてしまいかねないので、最高検主導で広島高検傘下の広島地検を、動かしていたのです。言うなれば『黒川外し』です。

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 3月に入ってからは、広島地検に応援の形で東京地検特捜部の検事を投入。3月3日には、議員会館の事務所の捜索に乗り出しました。国会会期中には国会議員は逮捕されないという不逮捕特権の『例外』である逮捕許諾請求も一時は検討していたようですが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、逮捕許諾手続きで国会審議を停滞させることはできないと判断。5月に週刊文春の賭けマージャン報道で黒川氏が辞職したことで、特捜部が主体的に動けるようになり、会期終了直後の逮捕となったのです」(同前)

 水面下で特捜部を動かしながら、表向きは広島地検を使って河井夫妻の捜査を実質的に指揮していたのは、最高検刑事部長の落合氏だったとされる。