落合氏「遠隔操作」の見事な手腕と“問題点”
「落合氏は東大法学部出身の司法修習38期で、将来の東京地検特捜部長就任は間違いないと早い段階から嘱望されていた人物です。2005年に発覚した元1級建築士による耐震偽装事件では、国土交通省の刑事告発を受けた警視庁の保安課が、普段は違法風俗店の摘発などしか手掛けていなかったことから大型事件が手に負えず、東京地検から落合氏が全てを『遠隔操作』して保安課などによる捜査を指揮し、難事件を立件にまで漕ぎ着けた事実は検察内部でよく知られています。
今回の広島地検を『遠隔操作』したケースとよく似ているのです。ただ、事件を組み立て、捜査を指揮する能力には定評がある一方で、東京地検特捜部の副部長として直接捜査に当たった2007年の元公安調査庁長官詐欺事件などでは、恫喝といった強引な取り調べ手法が問題視され、大阪地検特捜部証拠改竄事件後の検察改革で取り調べの可視化が本格導入される流れの中で、落合氏は特捜部長ポストを逃した経緯があるのです。落合氏にとって、今回の事件は『特捜検事』として最後の大仕事と言えるのかもしれません」(同前)
通常、1年から2年とされる特捜部長の任期だが、森本氏は就任してからすでに2年10カ月に及ぶ。もうすぐ任期は終了するとみられている。
「日産のカルロス・ゴーン前会長の事件は、東京地裁の判断ミスでレバノンへの逃亡を許し、後味の悪い結果となってしまいましたが、前法相らに加え、2002年の鈴木宗男参院議員(当時は衆院議員)による汚職事件以来、17年ぶりの政界汚職となったIR汚職事件で、IR担当の内閣府副大臣を務めた秋元司衆院議員も逮捕・起訴して、特捜検察復活の狼煙を上げた森本氏に対する検察内部の評価は盤石です。