昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

CDB

2020/07/22

再演への期待を感じさせたコメント

「今日もこれまでも、来ていいのだろうか、という迷いさえある中で来場を選択してくれた観客の皆様に本当に心から感謝しています。いつ初日の幕が上がるのか、今日はやるけど明日はあるのか、そういう中で迎える舞台は初めてでした。

 カンパニーの皆さんが笑顔でポジティブに支えあい、そして子どもたちの純粋なまなざしが作品とカンパニー、世の中にも光を与えて、私たちも頑張れているんだなと感じました。またいつか、皆さんとここで持てた繋がりをどこかで感じたいですし、またその日が来るように、私も演じ続けたい」

 といった内容のことを生田絵梨花は語り、観客は大きな拍手で応えた。はっきりとは口に出さなかったが、生田絵梨花のコメントに「再演への期待」を感じていた観客は多かったと思う。

 ある面において生田絵梨花と三浦春馬は似ていた。役者としてまったく違うキャリアを歩いた末にこの舞台で初共演した2人は、まるで兄と妹のようにその生真面目さと不器用さを共有していた。お互いのキャリアの大きな節目になるであろうこの舞台を、もう一度完全な形で再上演してほしいという願いを劇場の空気から感じた。 

生田絵梨花 ©︎時事通信社

「この産業は、とても血の通った仕事だと自負しています」

 生田絵梨花の挨拶が終わり、最後に全ての観客が主演の三浦春馬の挨拶を待った。 

「本日は本当にありがとうございました。私ごとですがこの状況になってから、ある公演を見させていただきました」

 三浦春馬はそんな風に、思わぬことから話を始めた。 

「そして僕は、1人の男として、俳優として、このエンターテインメントで生きさせてもらっている人間として、その演劇からもらうエネルギー、元気というものにとても胸が熱くなりました」 

 三浦春馬が話した「この状況」とは、演劇が休演か開演かに揺れ始めた3月中旬以降のことをさしていたと思う。舞台『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』の開幕が遅れた日、あるいは開幕後の休演日のどこかで見た、他の劇団の公演のことについて彼は話していた。 

「僕はその時に、エンターテインメントというものは、もしかしたらこの状況における一番不必要なものかもしれない、だけどこれから先、みんなに余裕ができて、そしていつの日か、このエンターテインメントが皆さんの気持ちを少しでも軽くするようなお手伝いができたら、そういうことを信じて走っていくべきなんだと思わされました」