彼の死ではなく、彼の生を記憶しようと思う。多くの作品で彼が演じた役について、彼が語った未来への希望について。去年2019年、彼がソウルドラマアワードで「アジアスター賞」を受賞した時、「隣国として私たちは時々難関にぶつかることもあります。でもお互いにもっと理解しようと努力すれば、このような難関を一緒に解決できると信じています」と語ったことについて。
『日本製』の巻末のインタビューで、岡田准一の殺陣の素晴らしさや、「演劇は啓蒙、啓発なんだ」と語る岸谷五朗ら先輩俳優への尊敬とともに、「エンターテインメントは楽しかったりきらびやかなものだけではなく、『戦争はむごいことなんだ』『人が人を差別することはいけないんだ』と伝えることができる」と語っていたことについて。
誕生日に初めて配信したインスタライブで「5年後10年後も舞台で動いていられるように、食事を未来の投資だと思って大切に食べている」と語ったことについて。
5月の下旬に比嘉愛未とコラボしたインスタライブの中で、タサン志麻さんの名前を間違えたら失礼だから、と手のひらに名前を書いてたことを見抜かれた三浦春馬が照れて笑った時、人のことは言えないほど生真面目な比嘉愛未が、姉が弟を見るように「マジメかい」といとおしげに笑って彼を見つめていたことについて。
これからも新しいファンが三浦春馬に出会う
多くのファンが彼との別れを悲しんでいる。でも多分、もっと多くのまだ見ぬファンがこれから初めて三浦春馬に出会うのだ。2020年のネットフリックスで、旧作を上映する映画館で、21世紀生まれの少年少女がオードリー・ヘプバーンやリバー・フェニックスや、松田優作や夏目雅子に初めて出会い恋に落ちるように、今ここで彼の死を悲しみ、別れを惜しむファンの何倍もの新しいファンが、これからの未来の時間で再生される過去の作品の中で、初めて三浦春馬に出会うだろう。
だから少しでも多くの人が、SNSやメディアや、あるいは日常の場所で、彼の死ではなく彼の生の記憶を語り続けてくれることを望む。未来のファンたちが道に迷わないように、彼が何者であり、何者でありたいと願ったのか、彼が生きた目印をできるだけ多く残してくれることを望む。30歳で死んだ俳優としてではなく、30歳まで生真面目に、そして懸命に生きた俳優として、三浦春馬を僕たちの社会が記憶するために。