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夏に読みたい「怖い話」

2020/08/09

genre : ライフ, 読書, 芸能

 後日、お母さまから、娘さんに「三木住職のお寺は芸能に御利益があるので、予約を取ったからお参りに行くように」と言いましたと連絡をいただきました。

 実際、私のいるお寺は芸能の御利益でも有名ですので、何の疑いもなく娘さんがお越しになられました。

「実は最近、母の様子がおかしいのです」

 この時、私は大変複雑な思いでいました。といいますのも、最初に芸能生活が上手くいくようにご祈祷をし、その後に、地下アイドルを辞めるように言わなくてはいけない矛盾があったからです。

 まず娘さんについている霊を鎮めるご祈祷をして、その後、どのように説明しようかと迷っていた時、彼女の方から、先に少し話を聞いて欲しいと言ってこられました。

「話とは、どういったことですか」

 私が聞き返しますと、こんな答えが返って来ました。

©iStock.com

「実は最近、母の様子がおかしいのです」 

 どんな風にご様子がおかしいのか、お経を読む前に聞かせていただく事にしました。

母親は誰と話していたのか?

 娘さんのお話によりますと、ストーカーの男性が亡くなった事を知ってから、おかしくなったと言われるのです。

 その日の夜、娘さんは自分の寝室のある2階で寝ていると、1階で寝ているお母さまが、誰かと話しているような声がしたらしいのです。

 こんな夜に誰と話しているのだろうと1階に降りてみると、お母さまは独りで何か話されていたと言います。

「誰と話しているの」と聞いてみると、「何も話してなんかいないよ」と不思議そうな顔でこちらを見てきたそうなのです。

 そして何よりおかしな事があるんですとおっしゃるのです。