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シノギに同行

 24時間ヤクザ(元だったが辞めたてだった)と一緒……という生活は、歌舞伎町のヤクザマンションに勝るとも劣らない理想的な取材スタイルだった。取材範囲は狭いが、圧倒的に深い。

 たとえばシノギに同行できる。取り立てや会社整理、売春に企業恐喝など、生の場面を見られるのだからためになった。現場に同行するときは、絶対に口を開かないよう念押しされた。

 私は大抵運転手役だった。元組員は押し出しの効くタイプで、アゴ(口)も達者だったから、一部始終をメモした。兄弟分の親分の依頼で、1000万円の回収に出向いた先は宝石屋のおばちゃんだった。彼は足繁く通って全額を回収した。どうやったかといえば、自殺に追い込んだのだ。彼女は生命保険によって借りていた金を払ったのである。

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 報酬は100万円だったようで、私はこれに同行していない。その後、親分と一緒に飲みに行くと、「こいつ自殺させよったねん」とからかわれ、さすがに嫌な顔をしていた。

 喧嘩の仲裁に行ったときは、間近で暴力をみることができた。相手も暴力団関係者なので、こちらに罪悪感はなかった。

ヤクザ社会の一大派閥である在日韓国・朝鮮人

 彼は在日韓国人だったので、同和地区と在日韓国・朝鮮人を同時に取材できたのも収穫だった。

 暴力団は長い間、被差別階級の拠り所と言われてきた。具体的には同和地区の出身者と在日韓国・朝鮮人で、事実、そうした出自を持つ人間は多い。なかでも在日韓国・朝鮮人たちはヤクザ社会の一大派閥で、かなりの実力者を輩出している。現在、暴力団の91%が暴力団対策法の適用対象となる指定暴力団の22団体に所属している。そのうちトップが在日韓国・朝鮮人の団体は、稲川会、極東会、合田一家、福博会、九州誠道会の5団体だから、全体の約2割がトップに外国人が就任しているわけだ。