陛下と愛子さまは同じスペイン語の単語帳を
陛下はいつも穏やかで明るく、非常に高貴な方です。生まれながらにして天皇になるための教育を受けてこられたことが時折垣間見え、おごりというものが一切ありません。非常に誠実なお人柄です。そして、陛下はご家族への愛情がとても深いと思います。
愛子さまが6歳の頃、陛下が連れてこられ、私がスペイン語の授業をしたことがあります。6歳の女の子が日本語以外の外国語を勉強するのはとても大変なことです。陛下には、まずは遊びながら愛子さまを授業に参加させてみようというお気持ちがおありだったようです。授業は1回30分という限られた時間でしたが、愛子さまは活発に参加されていたと思います。陛下は、愛子さまの授業に同行される時はメモをとったりしてしっかりとサポートされていました。
愛子さまは早いもので18歳になられ、大学でスペイン語を学ばれていることをとてもうれしく思いますし、機会があればスペインを訪れていただきたいなと思います。スペインにはサラマンカという都市があり、国を代表する名高い大学街です。実は、陛下と愛子さまは、スペイン語の語彙に特化した同じ単語帳をお一人ずつお使いになっています。愛子さまには大学の試験などもあるでしょうから、その準備をされていたのではないでしょうか。
雅子さまが大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』をご覧に
愛子さまがまだお小さい頃、陛下のお誕生日に東宮御所へ伺った際、両陛下とともにご挨拶させていただいたことがありました。スペイン人は挨拶の時に頬を合わせる習慣がありますが、愛子さまともそのようにして挨拶をさせていただくと、両陛下も和やかに笑っておられ、その時の雰囲気が何とも言えず、とても家族仲が良いことが窺えました。
私は、長年外務省でスペイン語の主任講師を務めていました。ご結婚前の雅子さまがまだ外務省に勤務されていた1992年、NHKの大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』に縁があってトルレス神父という役で出演したことがあるのです。ドラマをご覧になった雅子さまが劇中で私の顔を見つけて、当時外務省の研修所(外交官育成のために語学研修が行われる)は茗荷谷にあったのですが、そこで教えているスペイン語の先生……と思い当たられたようで、人づてに「テレビで拝見しました」とおっしゃっていたと聞きました。その方が、皇太子妃そして皇后陛下になられたというのは、感慨深いことです。