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2020/08/16

genre : ニュース, 社会

スペイン語のスピーチ「ここからは私が自分で申し上げたい」

 陛下がスペイン語を学ばれ続ける理由は、スペイン語を公用語にする国が多く、公式行事や各国の人々と会話する際に、ご自身の言葉で話したいという強い思いがおありだからだと思います。

 2013年に陛下がスペインを公式訪問された時のことです。フェリペ皇太子同妃両殿下(当時)主催の晩餐会で、東日本大震災の際にスペインから受けた支援に触れ、陛下はスペイン語で挨拶されました。私はこのことを事前に存じ上げず、NHKのニュースで晩餐会の様子を知りました。

2013年6月12日、晩餐会であいさつされる天皇陛下 ©時事通信社

《2011年3月、日本が未曾有の震災に襲われた際、スペイン王室はもとより、スペイン国民の方々から心温まる支援や励ましを頂きました。また、福島原発事故の初動対応に従事した「フクシマの英雄たち」に対し、スペインで最も権威のある「アストゥリアス皇太子賞」が授与されたことについては、日本でも大きく報じられました。こうした温かい友情と連帯の表明を通じ、両国の絆は更に強いものになりました。「逆境の時の友が真の友(El amigo en la adversidad, es amigo de verdad)」という諺の意味を、我々日本人は改めて深く噛みしめました。改めて、日本国民の感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。》

 

 後日、外務省の通訳担当官に話を聞いたところ――実はこの人も私の教え子でした――裏方が作成した原稿ではなく、あいさつの後半は「ここからは私が自分で申し上げたいので」ということで、陛下ご自身が選んだ言葉でお礼を伝えたいというお気持ちでいらしたということでした。陛下はとてもきれいな発音でスペイン語を話され、大変感動的でした。その場にいた皆さんにもそのことが伝わったと思います。陛下は日頃の練習の成果を発揮され、私は本当にうれしく、誇りに思いました。