昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集観る将棋、読む将棋

解説者が「どちらも持ちたくない」 永瀬拓矢叡王が攻め込み、一分将棋の激戦に

第5期叡王戦七番勝負第6局・観戦レポート #2

2020/08/09

 ニコニコ生放送には、郷田真隆九段と和田あき女流初段が東京の将棋会館から出演。関西棋士は稲葉陽八段と山口絵美菜女流1級がリモート出演した。稲葉八段は自宅から、山口女流1級は関西将棋会館3階の一室から接続している。

久々にファンの前に姿を見せた山口女流1級

 山口女流1級はコロナ禍でイベント出演が減り、さらには非常勤講師を務める大学のオンライン授業に時間を費やしたため、この日は久々にファンの前に姿を見せたそうだ。「稲葉先生の手元が見えないので、電王盤を操作するタイミングが難しいです」と苦心していた。

関西将棋会館3階の一室からリモート出演していた山口絵美菜女流1級

 報道控室は4階の和室。隣のミーティングルーム(将棋博物館はここにあった)では、土曜こどもスクールが開講されていた。緊急事態宣言により4月と5月は休校。以前は遠方から通っていた子もいて部屋いっぱいに少年少女が座っていたが、この日の受講者は1クラス15人ほど。対局をする机には飛沫防止のシールドが固定され、ゲスト講師の山本真也六段の大盤解説は隣の部屋で行われていた。元の姿に戻るにはまだ時間がかかるだろうが、子供達は工夫しながら楽しんでほしい。

土曜こどもスクールでは、飛沫防止のシールドが固定されていた

「これは早いですよ」と6回繰り返した

 後手、永瀬拓矢叡王の△4四角(42手目)は、角を2六に利かせつつ△3三桂を見た手。「模様はよさそうと感じていた」という豊島将之竜王・名人だが、ここで指した▲5六歩は甘かった。次の△2五歩がいい勝負手で、▲同歩△同飛▲2六歩には△8五飛と飛車交換を迫ることができる。稲葉八段は「飛車交換になると、先手は2七金がよくない形ですね」と解説した。

42手目、△4四角(ニコニコ生放送より)

 △2五歩に豊島は▲6八角と飛車取りに引くが、永瀬が構わずに△2六歩と取り込む。次の▲2六同銀を見た立会人の阿部隆九段は「これは早いですよ」と6回繰り返した。急展開に面食らった様子だ。以下の手順で豊島は取った飛車を打って2一に成り込めたが、△2一金打(56手目)ですぐに竜を取られてしまった。

 ▲5六歩では▲5九角と引き、角を2六まで利かせたほうがよかった。後手からの飛車の打ち込みを消す▲3九金(59手目)の局面は後手ペース。次の△2八歩で18時から18時半の夕食休憩に入った。