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再放送ドラマ『家族ゲーム』 「いわゆる“俳優”ではない」櫻井翔を“狂気と病んだ演技”に駆り立てたもの

2020/08/12
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櫻井は歴代作品を「意識してないと言えば嘘になる」

「(松田優作版、長渕剛版を)意識してないと言えば嘘になるし、これまでの作品へのリスペクトもあります。でも、たとえば森田芳光監督の『家族ゲーム』が公開された当時の熱気を僕は知らないし、前提となる時代背景も違うじゃないですか。それを意識してなぞろうとしたところで、先行作品を超えられないどころか、同じラインにも立てないと思うんです。だから、僕たちは2013年版のまったく新しい『家族ゲーム』を作るんだというつもりで臨みましたね」(※6)

第69回NHK紅白歌合戦(2018年)リハーサル ©︎文藝春秋

 筆者は松田優作版と長渕剛版に夢中になった世代であり、正直なところ櫻井版を観る前は期待よりも不安が大きかったが、瞬く間にこれまでにない吉本に扮した櫻井の熱演に引きこまれ、伏線を張り巡らせた緻密でミステリアスな展開でありながらも歴代作品がテーマに打ち出していた“日本の家族が抱える闇”をボヤかさずに突きつける構成には唸らせられてしまった(脚本は『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の武藤将吾)。

 だからこそ、旧版しか知らない方や旧版を愛してやまない方にも今回の再放送を観てほしい。必ずや「いいねぇ」とニンマリしてしまうはずだ。

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※1 『婦人公論』2013年4月22日号
※2 『PLAYBOY』1985年12月号
※3 『キネマ旬報』臨時増刊2012年5月11日号
※4 『キネマ旬報』2020年2月上旬号
※5 『日経エンタテインメント』2013年7月号
※6 『SPA!』2013年6月11日号

再放送ドラマ『家族ゲーム』 「いわゆる“俳優”ではない」櫻井翔を“狂気と病んだ演技”に駆り立てたもの

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