松田優作、長渕剛、櫻井翔。
なにも共通項がないように思える3人だが、ある作品とキャラクターで彼らは繋がっている。その作品とキャラクターの名は『家族ゲーム』と家庭教師の吉本。さらに各自のキャリアにおいても、これらはなにかしらの大きな特異点、転換点、分岐点となっているのだ。
櫻井は「これが“本職”といえるものはない」
櫻井翔が吉本を演じたのが、2013年4月17日から6月19日にかけてフジテレビ系で放映されたテレビドラマ版。今年8月上旬から、再放送が始まっている。
近年は『news zero』のキャスターやNHK紅白歌合戦の司会、バラエティ番組でも存在感を放っている櫻井。2013年当時のインタビューでは「これが“本職”といえるものはないんじゃないかな、と思います。(中略)ドラマや映画は、今もお出かけするような感覚があります。いわゆる“俳優”ではない自分にとって、毎回毎回がチャレンジだし、気を付けていることは……ありすぎてわからないっていう感じですかね」(※1)と話していたが、ここでの彼は、まさに特異としかいいようのない演技を繰り出して、ひたすら観る者を圧倒してくれるのだ。
父の一茂(板尾創路)は大手メーカーに勤務、構えている家は豪華、長男の慎一(神木隆之介)は有名進学校の生徒と、誰もが羨むような沼田家。だが、中学生の次男・茂之(浦上晟周)の成績はクラスで下から5番目、その果てに引きこもりになってしまっていた。困り果てた母・佳代子(鈴木保奈美)はインターネットで“東大合格率100%の天才家庭教師!”を謳った広告を出している吉本荒野(櫻井翔)に救いを求める。