「薬剤師は医者の奴隷だ」という考えは淘汰されるべき
従来「縁の下の力持ち」という立場に甘んじてきた病院薬剤師という職業が、今回ドラマ化されたことで多くの人に知られることになった。このドラマでは病院薬剤師をクローズアップするという理由から、少々人間性に問題のある医師の存在が目につくが、実際にはこういう医師は減ってきているという。
「現代の医療は“チーム医療”が台頭しており、医師だけで完結する仕組みではなくなってきているのは事実です。医師を頂点に置くピラミッド型のヒエラルキーではなく、円の中心にいる患者をあらゆる医療従事者が取り囲む図式です。そんな中で薬剤師が虐げられていたのでは、医療を円滑に進めていくことはできません」(本田医師)
第4話で、葵の勤務する病院に患者として入院してきた脳神経外科医が、
「薬剤師は医者の奴隷だ」
と繰り返し口にしていたが、そんな考え方の医師はチーム医療が当たり前のこれからの医療の世界では淘汰されていくことになるのだろう。
その意味でこのドラマは、時代の流れに乗り切れていない古いタイプの病院経営者に警鐘を鳴らす役割を担っている、と考えることもできなくはない。
「葵のような薬剤師が病院にいたらどうですか?」
最後に、葵のような薬剤師があなたの病院にいたらどうですか、と訊ねたら、一人の看護師がこう答えた。
「一緒に働くスタッフはやりづらいと思う。薬剤師という職業への思いが強すぎて、考えるそばから行動しているように見える。そういう人とは自由な意見交換ができなそうなので……」
これは病院に限ったことではない。どんな社会でも“熱過ぎる人”が一人いると、周囲は何かと疲弊する。たとえそれが正しいことだったとしても、だ。
慢性的な人員不足に悩む病院薬剤師業界。このドラマをきっかけに「薬剤師を目指そう」と思う若者が増えるといいのだが……。
今後の展開が注目される。