――ADさんは編集テクニックを学ぶ機会が無くなってしまうのでは?
そうですね。ちょっとかわいそうだなという気もします。おそらく僕たちまでが、箱に張り付いていた最後の世代になるんだと思います。これからのADさんたちは「ディレクターがエディターさんと演出的なやりとりをしていたら、よく見ておこう」といった姿勢や向上心を持たないと、何だか知らない間に番組が完成していた、という事にもなりかねません。
フルリモート編集に完全移行したスタジオを取材
演出・千葉さんが画期的だと感じたフルリモート編集。その内容を確認するため、白金にあるジャパンメディアクリエイトのスタジオにて、代表の吉川豪さんに話を聞いた。
――フルリモートでの編集ですが、どのような仕組みで実現されているのですか?
編集はこちらのパソコンでPremiere Proを使って行います。左のモニターに映っているのが、実際に視聴者が目にする映像ですが、こちらをZOOMで送っています。
演出やディレクターと話しながら作業をしますので、同じスタジオ内で作業していた時と比較すると、コミュニケーションの量は増えています。
「99人の壁」のような特番ですと、MAを含めて5日ほどの作業になります。プレビュー(最終チェック)の時は、vimeoで映像を共有して、コミュニケーションツールとしてZOOMを使います。vimeoによるプレビューであれば、これまで編集所に来られなかった人も含めてチェックでき、30人程度の大人数でプレビューを行うようにもなりました。
――ナレーターさんにマイクを郵送していると聞きました
はい、このようなものですが、音声のクオリティは十分です。こちらをナレーターさんのスマートフォンに接続してもらい、端末に録音された音声ファイルをすぐにクラウドで共有します。ディレクターと編集もリモートでつながっていて、同時に作業を進めていきます。
――コロナショックでリモート化が一気に進みましたが、以前から編集のプロセスに問題意識を持たれていたのですか?