こうした国民世論を文在寅政権と与党は十分活用している。与党の「共に民主党」は、保守系野党の未来統合党がチョン牧師と密接な関係があると攻撃している。「共に民主党」の党大会では「宗教の仮面をかぶった極右勢力が文在寅政権を揺さぶるために『コロナテロ』を仕掛けている」との暴言まで出た。
今年4月の総選挙直前にもコロナの拡散の責任を新天地教会に押しつけることで、初期対応に失敗した政府の責任は消え、選挙で与党は大勝することができた。今回も、政府の防疫失敗ではなく、大規模な集団感染をクローズアップさせることで、特定集団を感染の主犯に追い込む戦略が国民に受け入れられているのだ。
医師たちのストの動きも
しかし、今回のコロナ危機は、前回とは違う展開を見せる可能性もある。他ならぬ医師たちのストだ。 現在、韓国医師会は、文在寅政権の医療政策を問題視し、8月26日からのストを予告している。
文在寅政権の医療政策である「文在寅ケア」は、政権初期から医師らと“葛藤”を抱えてきた。整形と美容を除いたすべての治療を医療保険で受けられるようにする「文在寅ケア」構想に対して、医師らは「医療報酬が調整されていない『文在寅ケア』は中小病院の生存権を脅かす」とし、絶対反対の意思を示してきた。
しかし、コロナの感染拡大を受けて、医師会は政府との対立を棚上げし、コロナ防疫の最前線で政府に協力してきた。しかし、政府はコロナが収まるにつれ、再び公共医科大学の設立や医学部の拡大などの政策を推し進めたため、医師らが再び反撃に乗り出したのだ。
医師らの行動に対しても文在寅政権は強硬な態度で一貫している。防疫の協力を求めなければならない医師らに、「ストを強行すれば免許停止などの処分を下す」と警告している。
コロナの再拡散という国家的危機の中で、文在寅政権の強硬策は成功するのだろうか。