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連載テレビ健康診断

ミルクボーイの先輩だった“浪遊亭我呂”さんは、売れっ子小説家になっていた――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)

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 誰しも、学生時代に仲が良かった“あいつ”が今、何をしているのだろうと思うことがあるはずだ。どんなに仲が良かったとしても、疎遠になってしまうことは少なくない。そんな芸能人の“あいつ”を調査するのが『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)だ。

 この日のゲストはミルクボーイ。彼らは大阪芸術大学の落語研究会出身。その1期上の先輩で会長だった「浪遊亭我呂」は迷ったらネタを見てもらいアドバイスをしてもらう存在だったという。的確な助言をくれる才能に信頼を寄せていた。番組では我呂と連絡をとり会いに行く。この番組が特異なのは、“あいつ”をスタジオに呼んだりしてゲストと直接対面させるようなことをしないことだ。会いに行くのは基本的にスタッフ。従って、この手の番組では最大のクライマックスになる「感動の再会」のようなシーンはない。その代わり、“あいつ”は本人に遠慮することなく当時の思い出や、その後の人生をじっくり語ることができる。我呂は「それまでやっていためんどくさい行事とかを全部やめていた」が、ミルクボーイの2人が「更地になったところに新しいイベントを作っていった」ほどマジメだったと回想する。その様子を見て「サークルの質が変わるな」と思ったという。そんな我呂こと河野裕は現在、実は売れっ子小説家になっていた。彼の作品は横浜流星や野村周平主演で映画化もされたほど。基本的に仕事関連のことしかツイートしない彼のTwitterだが、『M-1』でミルクボーイが優勝したときにだけ「ミルクボーイ、おめでとう」とその関係性を明かさずツイートしていた。劇的な再会シーンがない代わりに、“あいつ”の深い思いに触れることができるため、ゲストの感情を揺さぶり、普段見せない表情を見ることができるのだ。

ミルクボーイ ©時事通信社

 さらに内海崇は中学時代に知り合った“あいつ”の思い出を語る。当時仲間内で適当なメールアドレスにメールを送り、メル友を作るという遊びが流行っていたという。それでメル友になったのが遠く熊本に住む同い年の「なな」という女性。「内海と同い年」「進学した高校名」「『なな』という名前」だけしか情報がない中、なんと番組は探し当てた。お互い知っているのは名前だけ。顔も知らない。もちろんその女性も自分がメールしていた「たかしくん」が『M-1』で優勝した内海崇だとは関知していない。だからスタッフからの知らせを受けた際も「人生最大の事件が起きてます!」と驚いていた。「我呂さんに小説にしてもらおうかな」と内海が言うようにあまりにもドラマチック。

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「はじめまして。そして、お久しぶりです」

 彼女から内海への普通ではありえない挨拶がそのスゴさを物語っていた。

『あいつ今何してる?』
テレビ朝日系 水 19:00~
https://www.tv-asahi.co.jp/aitsuima/

ミルクボーイの先輩だった“浪遊亭我呂”さんは、売れっ子小説家になっていた――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

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