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 当時は、女性というだけでとても苦労する時代でもあって。男女雇用機会均等法すらまだなかったので、女性の就職はまだまだ難しくもありました。そんな時代で、女性が4年制の大学へ進むのも大変でしたが、さらに芸術学部は“変わり者の集まり”だとか思われていましたから(笑)。でも、私は日芸で教育を受けさせてもらったことが今の事業に活きていることにすごく感謝してます。教育は大事だってつくづく思いますね」

女湯「白波湯」。葛飾北斎の富嶽三十六景『凱風快晴』が美しい。伝統と革新が同居する

48歳で起業。「お風呂屋さんの運営」は、苦労の連続だった

 大学を卒業して親の会社の仕事を手伝うかたわら結婚。子育てが一段落した、48歳の時に今の会社を起業。他のサウナ経営者と比べてもかなり高齢からのスタートだ。しかも、開業にあたって必要なことはすべて独学で準備したという。

「子育てに手がかからなくなったので、『じゃあ自分で商売に挑戦してみよう』と決めたんです。でも最初は全く何もわからなくて……。昔からサウナを開業なさる時は、皆さんだいたいどこかに修行に行くのが定番なんですが、私は48歳で始めたというのもあって修行には行けなかった。色んな方に相談もさせていただきましたし、自分でもたくさん悩んだんですが、最終的に『とにかく飛び込んでみよう』と決意したんです」

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 全く知らない業態を新規ビジネスとして選択した平井にとって、温浴施設の経営は全てが初めてで試行錯誤の連続だった。

「もうわからないこと続出で、機械室にある内線電話で『今ここの装置が止まってるけどどうしたらいいんですか!』って毎日のように業者さんに電話して(笑)。全部そうやって一から覚えていきました。当時はまだ温浴施設が今ほどたくさんなかったので、経験者は少なくて。まして従業員教育の方法なんて全然分からない。お風呂屋さんの運営って何もかも特殊で、本当に大変でした」

岩盤浴も3つと充実しているのも女性に優しい施設たる所以(ラドン岩盤浴「風」は現在使用中止)