文春オンライン

iPhoneと8ミリカメラがうつしとった、マヤ伝承と泉の世界

『セノーテ』小田香監督インタビュー

2020/09/18
note

――監督はまるで冒険家のようにどんどん未知の場所に飛び込んでいく方だなと思うんですが、単純にそこに行きたいというだけではなく、あくまで作品を撮りたいという気持ちが大きいんでしょうか。

小田 半分半分くらいかもしれません。とにかくその場所へ行ってみたい、という気持ちももちろんあります。でも行きたいと思うのはやはり何かしら興味があってのことなので。好きだから、とか、もっと知りたい、とか。それを考えたり知るための手段が自分にとっては映画制作なんだと思います。

変わらない「知らないことを模索しながら作っていく」スタイル

――『セノーテ』でも『鉱 ARAGANE』でも自分でカメラを回されていますが、そのスタイルは今後も続けていく予定ですか。

ADVERTISEMENT

小田 この2作品のような作品を作るときは自分で撮影したいです。撮影するのが好きだし、それがいろんな物事を考える手段になっているので。カメラを回しながら、そこにあるものを理解したり、やはり理解できなかったりする。それが楽しい。ただ、必ずしも撮影だけが何かにアプローチする手段ではないんだな、ということも理解はしているつもりです。撮影では他のみんなに相談をしながら自分は監督としてその都度判断をしていく。それもまた手段のひとつだということが、最近わかりはじめてきました。もし信頼して任せられる人と出会えたら、これまでとは違う形での作品作りにも挑戦してみたいなと思っています。

©Oda kaori

――今後、作品を作っていくうえで、何か方向性やプランなどは考えていらっしゃるんでしょうか。

小田 具体的なプランはまだありませんが、『鉱 ARAGANE』や『セノーテ』みたいな物事を探求していくような映画作りは今後も続けていきたい。同時に、たとえば脚本を書いたり、集団芸術としての映画作りもなるべく早いうちに体験しておきたいです。きっと失敗すると思うので早いうちに挑戦して失敗しておきたいなと(笑)。

――では今後は別のジャンルやスタイルの作品を作っていく可能性もあるわけですね。

小田 はい、ただたとえ全く違うアプローチになるとしても、自分の知らないことを模索しながら作っていく、というスタイルは今後も変わらないと思います。

INFORMATION

『セノーテ』
9/19(土)~新宿K's cinemaにてロードショー全国順次
http://aragane-film.info/cenote/

iPhoneと8ミリカメラがうつしとった、マヤ伝承と泉の世界

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー