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岸田文雄 ★4.2 「政治の軌道を直す役割」

 自民党が長いこと政権を担ってきた理由の一つが、政策イデオロギーの幅の広さです。保守的な考えのグループと、リベラルなグループが共存して政策をキャッチオール(包括)し、自民党内で疑似政権交代を繰り広げてきました。

 岸田さんはこれまで安倍首相の庇護のもとに置かれていたというイメージがありますが、岸田さんが首相になった場合、国民は安倍政権からの「変化」を感じとることができると思います。

岸田文雄 ©文藝春秋

 安倍政権は憲法改正や男系男子による皇統維持など、右寄りに軸足を置きながら政治を行ってきました。それに対して岸田さんは、宏池会という伝統的にリベラル色の強い派閥を率いています。一時は安倍首相からの“禅譲”が囁かれるほど安倍首相の期待を一身に背負った岸田さんですが、岸田内閣ができた場合は単に安倍路線を貫くわけではなく、随所に岸田カラーを出した政権になると思います。

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 誠実な人柄と安定感には定評がありますが、問題は発信力の弱さ。党内には「平時の岸田」は今のコロナ禍のような「有事」には向いていないとの声もあります。